第66話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(17)

 と、なれば?


 コウちゃんはもう、その場から直ぐに立ち去ると言う行動に移れなくなると思うから、ではなくて。


 もう既に彼はパニック状態へと陥り、身動きできないで佇み始める。


 だから僕はコウちゃんの腕を力強く握り──自分の方へと強引に引き寄せたのだ。


 彼を物の怪から守る為に、僕は勇気ある行動をその時は起こせたのだ。


 今の死にゆく情けない男の僕とは違ってね。


 それもさ?


 その時に何故か僕は咄嗟に?


 と言うよりも?


 反射的なのだろうか?


 己の身とコウちゃんを守る為に、何故か自分自身の身体が無意識に、勇気ある行動へと動いたのだ。


 そう、自身の左手で大事に持ち握っていたお祭りの出店の景品で手に入れた。おもちゃの銀玉鉄砲──。


 それを僕は反射的に暗黒神に染まった物の怪の女性に対して乱射ができたのだ。


〈パンパン〉とね。


 僕自身も困惑していたから、物の怪に対して何発撃ち込んだかわからないけれど? とにかく無我夢中で、〈パンパン〉と、乱射をしたのだ。


「ぎゃぁあああ~」、


「痛い~。痛い~」と。


 僕がおもちゃの銀玉鉄砲を〈パンパン〉と、物の怪の女性へと無我夢中で乱射をつづければ。物の怪の女性の口から絶叫が放たれたのだ。


 ……だけではない。


 物の怪の女性が後ずさりをしながら怯む黒い影──姿が、僕に両目に映る。


 となれば?


 僕の口からは、この場から即急に立ち去ろうと、いった台詞が漏れてくる。

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