第59話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(10)

 多分、この場にいる少年探検隊達全員の耳に聞こえたと思うから?



 僕は少年探検隊達皆の回答を待つことにする。と、言うことはないね。


 だってさ? 僕が少年探検隊達皆の回答──返事を待つ必要性がないほど直ぐに。


「うわぁあああ~!」


「で、でたぁあああ~!」


「お、お化け~!」


「お化けが出たよ~!」と。


 この場にいる者達皆……。少年探検隊達は各自各々がパニック。そして絶叫──!


 だから声を大にして叫び──走りだしたのだ。


 この漆黒の暗闇から各々が解放をされるために、洞窟の出口へと向けてね。


「ちょっと待ってよ~」


「おいていかないで~」


「お願いだから~」の台詞も添えてだよ。


 この場にいる者達皆が、我先にと洞窟の出口へと駆け足で逃げ、逃走を計るのだ。


「ううう、ううう……」と。


 相変わらず唸り声だけは漏らしている、僕達の目には映らない、何かに恐れ慄きながら、この場から我先にと慌てふためきながら逃走を計りだしたのだ。


「うわぁあああ~。怖い~」


「怖い、怖い」


「怖いよ~」も、更に添えてね、絶叫を吐きながら逃走をする。



 そんな仲間達……。最初にこの場から逃走を計った者達の背を僕自身も凝視すれば、『不味い。早くこの場から逃げよう』と、言うことになるから。


 僕自身も口を開いて「ちょっと待ってよ~。おいていかないで~」と叫び。


 最初に逃走を計った者達へと待って欲しいと嘆願をしながら、社へは向かう行為をやめて。この漆黒の暗闇から、己が解放をされるために洞窟の出口へと向かい走り始めるのだ。


〈ダダダ〉と。


 洞窟内が響くような荒々しい足音を立てながら僕も逃走を始める。



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