第58話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(9)
そう、常日頃から自身は霊感が強いと豪語している僕のクラスメイトコウちゃんは。やはり同じクラスメイトのゆう君に猜疑心のある目で問われる。
と、言っても?
この漆黒の闇に覆われた洞窟内だからお互いと、言うよりも?
僕達少年探検隊は、仲間の顔の様子。顔色を窺うことなどできない。
だから僕は、先程からこの場にいる少年探検隊達仲間の様子と顔色は、声色を聞き判断をしているのだよ。
そして、僕なりにコウちゃんとゆう君の会話。お互いの声色を聞いて、コウちゃんは僕達へと、何か得体の知れない物がいるから信じて欲しいのと? ゆう君に対して不満を漏らしていたのだ。
でッ、そんなコウちゃん対峙しているゆう君は。コウちゃんへと苦笑しながら猜疑心のある目と声色で。コウちゃんの気のせい錯覚なのだと告げる。そう、告げきるのだよ。
う~ん、でもね、何故か不思議と、ゆう君の声音なのだが?
彼の声色と口調は震えているのだと。
そう、己の目には映らない何かに怯えているように、傍から二人の様子を凝視しながら聞いている僕の耳には聞こえるのだが。僕の気のせいなのだろうか?
まあ、僕がそんなことを脳裏で思いながら。
「まあ、どちらだっていいじゃない。二人とも……。それよりもみんな先へと急ごう……」
と、告げると。
「うん」
「そうだね」
「先へ急ごうか」と。
少年探検隊達みんなから洞窟内。声が響くように返ってきた。
だから僕ら少年探検隊達は、立ち止まり会話。口論をするのをやめ、洞窟の奥。社へと己の身体の向きを変えるのだ。
でッ、〈ザク〉と、足音を立て前へと前進──。
「うっ、ううう、ううっ、い、いっ……」
「「「……⁉」」」
「……ん? 今の声は何? み、皆聞こえた……?」
今度はね。と、言うか? 今の唸り声……。
多分、女性の声色?
それも? 地の底から……。
そう、世に言う冥府、地獄、黄泉平坂と呼ばれる亡者達が住み暮らすと言われている奈落の底から響くような重たい声が僕の耳……だけではないね?
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