第51話 幼少期の大変に不思議で恐ろしい経験……(2)


〈ピチャ、ピチャ〉


〈ポタン、ポタン〉


 と、天井──。


 そう、もの静かな洞窟内の、岩の天井からだろうか? 雨水が溜まり、天井の岩盤の隙間から水が漏れて、地面へと堕ちる音が洞窟内の奥にある社へと向かう、僕の耳……。




 と、言うか?



 僕達の足音とともに、耳へと響き、聞こえてくるのだ。


 でッ、また、その音がさ? 漆黒の暗闇の中を緊張しながら前へと向かう、僕達少年探検隊皆の、恐怖心を煽るような気がする。


 と、なれば?



 僕達少年探検隊の、隊員達の口から、自身の気を紛らわす、と、言うよりも?


 己の緊張と恐怖心紛らわす為に、だけではなく。


 ちゃんと自分自身の周りに仲間達いるのかを確認する為に。自然と各々が声を漏らし始める。


「本当に真っ黒だ」


「うん、暗いでしょう」


「前が余り見えないね」


「うん、そうでしょ……」


「洞窟内は真っ暗闇だと新ちゃんから聞いていたけれど。ここまで暗いとは思わなかったよ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る