第49話 洞窟内にある謎の社(12)
そう、大変に物分かりの良い。良い子だからね。僕はさぁ……と、言うことはない。
あの頃の僕は、今のように直ぐ、気落ち落胆をして、悪しき思いを心の奥底に付ならせ、燻らし、心の病に直ぐに落ちる。でッ、最後には今の僕……。自らの命を絶とうとするような僕ではなく。好奇心旺盛──。落胆、気落ちをした嫌な想いも、直ぐに前向きに変えることのできる子供……でなくて。
男だったからね。
表面上は聞き分けの良い。大変に良い子のフリだけはしたのだ。
御先祖様達が残したとされる財宝……。
それがどんな物なのか見たくて仕方がない。あの頃の僕の好奇心の方が。祖父や祖母、親戚の御老体、おじさんやおばさん達の昔話しや怪談話よりも上回っていつからね。
その場だけは、「うん、うん、」「はい、わかりました」「二度と洞窟内へは近づきません……」と、言葉を漏らして良い子のフリを貫き通したのだよ。
でッ、また、僕の言葉を聞き、祖父や祖母、親戚の御老体達やおじさん、おばさん達も。
「そう、そうか」「それは良かった」「ふう~、新太が……」「新太ちゃんが……」「危険な洞窟内へと行ったら、どうしようか、と、思ったよ?」と。
皆は僕の様子を凝視しながら安堵の言葉を漏らしていた。
でも僕は、それから数日後に、友達を連れ添って、探検隊若しくは、軍隊の一個小隊の如く振る舞い。
そう、参加者は皆片手に、おもちゃの銀玉鉄砲を持参しながら洞窟内へと向かったのだった。
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます