第46話 洞窟内にある謎の社(9)

「そうか……。それは凄い…」


 僕の親戚のおじさんは、祈祷師の人へと自身の身を乗り出し勢い良く訊ねる行為をやめて、自身の腕を組み、驚嘆……感心した声色をまた漏らしたらしいのだ。


 でッ、漏らし終えれば。


「家に帰ったら本家に電話してみますよ。先生。本当にありがとうございます……」


 親戚のおじさんは、祈祷師の人へお礼……。深々と自身の頭を下げ──。土下座をしながら「ありがとうございます」と、その後も何度もお礼を告げ、謝礼金を渡したと、幼い僕へと教えてくれた。


「(う~ん、やはり、お金がかかるのか。祈祷師の人へと色々なことを訊ねると……)」


 僕は親戚のおじさんの話しを聞き、恐怖や好奇心よりも現実なこと……。




 う~ん、やはり世の中は、何でもお金がかかるのか、と。子供ながらに思う。


 そう? 良くテレビや映画、アニメ、マンガのように、何か恐ろしい出来事……。




 それも? 摩訶不思議な怪奇現象や刑事事件の殺害現場などに、いとも容易く祈祷師さんが現れて──。


『うぅ~ん……はぁあああ~!』と、声を大にして叫び──!


 その後?



『私には見えました……』


『この場に怨霊が……』『地縛霊が……』


『私には見える……。犯人はお前だぁあああ~!』


 と、告げる。衝撃的な場面を多々見ることがあるから。あの頃の幼い僕は、祈祷師の人が現場に訪れるのは無料報酬で、自身の名声値をあげるために訪れているものばかりだと思っていたから。そちらの件ばかりが気になって。我が家に伝わる伝説を怖いと思う恐怖感事態を僕が募らせることはなかったのだよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る