第44話 洞窟内にある謎の社(7)
まあ、こんな感じでね。幼い僕を恐怖に陥れようと試みてくるのだよ。真夏の夜の怪談話のようにね。「フフフ」と彼等、彼女等は、苦笑をしながら僕を震え慄きさせようと試みてくるのだが。
僕自身も、ところがどっこいなのだ。あの頃の僕自身は、本当に活発──。好奇心旺盛な子供だったからね。
「僕は大丈夫! 神隠しに遭ったりしないし。怖くはないよ! だから今度探検しにいってくるよ……。そして? 僕達の御先祖さま達が残した財宝を探索──。必ず僕が見つけだしてあげるから。みんな楽しみに待っていてね」と。
僕の祖父や祖母。親戚の御老体達が、幼い僕を怖がらすための怪談話を聞かされてもなんのそのだ。
僕は震え慄くことなどしないで、凛とした表情と威勢のある様子で、みんなの怪談話を撥ね退けてみせる……だけではないのだ。
そう、僕の一族が長い年月をかけて守護してきた社には御先祖さま達の宝が眠っているらしいのだ。
社の付近か?
社内か?
社の真下辺り……。
何処かにあるらしいのだ。
そう、僕の親戚内の誰かが以前、祈祷師さんにお祓いをしてもらった時に。
「お宅の里には、洞窟があって、その奥には社があるであろう?」
と、尋ねられたことがあるらしいのだ。
でッ、その時に親戚のおじさんは、「はい、ありますが。祈祷師さん。それがどうかしたのですか?」と言葉を返し。訊ね返しもしたみたい。
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