第37話 とうとう僕は、一人になった。(14)
でも僕は亜紀ちゃんの彼氏でも夫でもない只の男……。
まあ、彼女の従妹であるの血の繋がりはある只の親戚であり。
彼女の知人の男性の中の一人でしかないのだ。
だから『亜紀ちゃん、毎日僕の許に通ってよ……。家の玄関のベルを朝昼晩と鳴らして、僕に君の女神の笑みを魅せてよ。そして拝ませて欲しい……』とかね。
『もう、亜紀ちゃん、自分の借りているマンションへは戻らなくていいよ。ずぅ~っとこの家……。そう、僕の許へといてよ。そして毎日僕を癒し、慰めて欲しい……。お願いだから……』と。
僕は亜紀ちゃんに土下座をしながら嘆願をしたいのだ。
う~ん、でも?
そんな【ストカー】みたいに亜紀ちゃんへとつきまとえば、彼女が迷惑をするし。僕自身も犯罪行為。警察沙汰になってしまうと思うからできない。
と、いうか?
僕自身にそこまで彼女が嫌悪感を覚える行為をして独り占めにするだけの勇気も独占欲……決意もないから致し方がない。
それに彼女自身も、我が社の社長……。父が他界していなくなったと同時に、また僕の心の病が発病したので嫌気がさし。この会社から早々に去るのだろうと思われるから。
亜紀ちゃんに対して僕が、しつこくつきまとい追いかける【ストカー】行為は、やはりよくないと思う。
だから僕は今後の余生を独りこの家で寂しく暮らし、孤独死を送る人生を過ごしていこうと思う。
と、いうか? 決意をすることにしようと思うのだよ。
と、僕自身も心の中で思えば?
「ああ~、何だか~。心の中が寂しいな……」と。
僕の口から自然と愚痴が漏れてくるのだ。
でッ、終われば今度は?
「もう、こんな人生など、どうでもいいや……。ああ~。もう辛いし、寂しいし。もう死のうかな……?」と。
僕は独り言を漏らし。座っていた己の身体を起こすのだよ。
そして玄関先へと足早に向かう。
その後は、玄関で自身の靴を履き──。こんな深夜に、何故か外へと出かけるのだ。
そう、あるところ……。
家の裏山にある洞窟へと僕は、漆黒の闇に紛れながら死地を求めて向かうのだった。
◇◇◇◇◇
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