第32話 とうとう僕は、一人になった。(9)

 だから僕は、いけないと思いつつも。今心の病に侵されている僕にとっては、心の拠り所である。女神のような亜紀ちゃんの優しい台詞に対してついついと甘えてしまい。


「ありがとう。亜紀ちゃん……。本当に助かるよ。ありがとうね……」と。


 僕は亜紀ちゃんへと気落ち、申し訳なさそうに謝罪とお礼を同時に告げる。


 本当に従妹の亜紀ちゃんには申し訳ないと思う。


 でも、今父のいない僕には、頼れる人が亜紀ちゃんしかいないし。


 彼女が今の心の病に侵されて僕の唯一の心の拠り所なのだから。いけないと思いつつも頼ってしまう。


 それでも僕の従妹は、嫌な顔色など一切しない。


 また自身の頭を軽く振りながら、女神の笑み。


「うぅ~ん、気にしないで新太さん……。あなたの心の病が完全に改善するまでは、私がついていてあげるから心配をしないで、新太さん……」


 と、快く僕へと言ってくれるのだ。


 だから僕は、『ホッ』としながら安堵するのだよ。


 亜紀ちゃんの知人や友人……。




 それこそ? 女神のように美しい亜紀ちゃんだから、彼氏が多分いるとは思う?



 その男性(ひと)から亜紀ちゃん借り入れ……。




 と、いうか? 彼女を奪い束縛できたのだから。


 僕自身は、彼氏には大変に悪いし。彼から僕のことを見れば、自分の彼女の自由を奪い束縛をしている悪しき者であり憎い男だろうなぁ……と、思っていると察しられる。


 だから僕は多少なりとも罪悪感があるのだけれど。先程も告げた通りで、亜紀ちゃんが僕の心の病が回復するまでは、渾身的に世話をしてくれると告げてくれたので、僕は安堵した訳だから。彼氏には悪いと思いつつも僕自身は嬉しくてしかたがない。邪な感情を持つ僕だったのだ。



 ◇◇◇◇◇

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