第31話 とうとう僕は、一人になった。(8)
でもね? 僕の従妹は、本当の女神さまのような、女性だから。こんなにも心の弱い僕へと慈愛をくれる。
そう、僕の従妹の亜紀ちゃんは、一切不快な表情と態度……。僕に嫌がるような様子をみせずに。世の中でも一番情けない男だと、自分自身が思うぐらい。最低で情けない男の僕を見捨てることなく渾身的に介護してくれるのだ。
僕が従妹の亜紀ちゃんに毎晩の如くこんな台詞を告げてもね。
「亜紀ちゃん? こんな情けなく、どうしようもない男の僕の世話……。そう、食時の準備など亜紀ちゃんはしなくていいからね……。早く自宅へと帰宅をした方がいい。亜紀ちゃんは毎日外回りの営業……だけではなくて。会社の商品の在庫や売り上げの管理も、亜紀ちゃんが全部してくれているのだから。疲れているはず……と、いうよりも? 疲れがたまっているのだから。早く帰宅をして。自身の身体を休める方がいいよ……。だからお疲れさま……」と。
僕は従妹の亜紀ちゃんへと何度も告げ、お礼も述べた。本当に亜紀ちゃんには、僕自身も悪いと思っているからね。
でもね、亜紀ちゃんは、僕の話しを聞いてもね。いつも自身の頭を軽く振り、笑みを浮かべ……。
そう、こんなどうしようもない男の僕へと女神の微笑みをいつもくれながら。
「うぅん、私の事なら大丈夫。新太さん……。どのみち、帰宅をしても独り暮らしの私だから。自分の食事を作る事には変わりはない。だからここで作っても一緒……。それに、二人分の食事にかかる食費は、一人分とも変わらないし。返って余った物を破棄しなくて済むから私の方が助かるから大丈夫だよ……」と。
こんな情けない男へと『大丈夫だから。気にしないで』と、僕が安堵感に浸れることができるような台詞を告げてくれるのだ。
されにさ? 僕の従妹の亜紀ちゃんは? 心の病に侵され、漆黒の闇の奥へと迷い込み、迷走を続けている僕へとこんな台詞も告げてくれるのだ。
「それに? 今新太さんの給金や生活費……だけではなくて。あなたの通帳も全部私が預かり管理しているのだから。本当に気にしないで新太さん……。私だって食事代の方が浮くから本当に助かっているの……。だから本当に新太さん気にしないで……」とね。
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