第21話 勤め先を辞め変えた僕……(5)
それでも彼らは、社長の息子だから専務と呼ばれる役職が只ついているだけの僕へと訊ねてくるのだ。
僕が毎回彼らに訊ねられる度に「えぇと、えぇと」と、声を漏らしながら。彼らの質問に対して理解できずに思案をし続けているのを知りわかっているにも関わらず訪ねてくるから困るのだ。
だって彼らは僕が余りに困惑をした表情で思案を続けていると。
「専務、自分がやっておくね」とか。
「亜紀ちゃんに聞いてみるは……」と告げてくる。
だから僕は彼らに「あああ、お願いします」と言葉を返しはする。
だが。その後にいつも自身の脳裏で「(最初から自分で理解してできるのならば。僕にわざわざ訪ねてこなければいいのに……)」と。僕は思うから。
彼に言葉を返した後も作り笑いしかできない。どころか?
つい最近は?
我が社の社員の人達に色々と訊ね問われても。
僕は彼らから手渡された書類に対して、自身の両目で見て確認をする行為を放棄して。
「亜紀ちゃんに聞いてくれる」と。
僕は彼らに言葉を返すようになった。僕自身が精神的に楽になりたい。ストレスを溜めたくないと思い始めだしたからね。
まあ、この会社の専務である僕が、こんなことを心の中で思い行動をしてはいけないとは思うのだが。
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