第15話 父のわがまま……。(7)
それを僕は、開いていた部屋の入り口で呆然と佇んで見続けたのだ。
父の大人の男性。壮年らしくない振る舞いに対して戸惑い。困惑しながら。室内にいる五人を観察し続けたのだ。
◇◇◇◇◇
「儂には、自身が経営をする会社がある。儂が会社に戻らいないと社員達が困る……。社長である儂でないと解らない事も沢山あるので……。だから頼むよ! 先生! 儂を今直ぐ退院……。自宅へと帰宅をさせてくれお願いだから……」と。
僕の視線の先──。
そう、父が入院をしている部屋の入口で沈黙。立ち棒気をしている息子である僕に気がつかないままの状態で、幼子のような振る舞いを続け暴れながら家の父は、主治医の先生へと大人の壮年らしくない我儘な要望と嘆願を相変わらずおこなっている状態が続いている。
でも、我儘行為続ける家の父に対して主治医の先生は。
「それは、無理です。大島(だいどう)さん……。先程も私が説明をした通りで。未だ大島(だいどう)さんの身体中を色々と検査……。悪いところ……。腫瘍があるようなら。手術をおこない摘出する必要性があるので。退院の方は? 今の今。今日の今日と言う訳にはいきません。大島(だいどう)さん……」と。
小さな子供の我儘をあやすように、主治医の先生が家の父へと説明をしてくれているのだ。
それも相変わらず、看護師さん達と、ベッドから無理矢理上体を起こし立ち上がろうとする。幼い子供のような家の父を取り押さえながら説明をしてくれている様子を僕は、室内の入り口で呆然としながら凝視をしている。
「あっ? 息子さん!」
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