第8話  僕の父が入院をした。(2)

 明けると彼は直ぐに、息子の僕へと先程の台詞。自分自身の病の状態を息子である僕へと問いかけてきたのだ。自分自身の胃の病は悪く悪化をしているのではないかとね。


 でも彼の息子である僕は。


「ああ~、父さん~。そのこと?」と。


 父に言葉を返した。


「うん、そうだ? そのことだ?」


 言葉を返した息子の僕へと直ぐ父は言葉を返し訊ねてきたよ。


 だから僕も直ぐに父へと言葉を返すことに決めたのだ。家の父が病院のベッドの上で横たわりながら。不安な表情で、息子である僕のことを見詰めているから。僕は父がこれ以上不安にならないように笑みを浮かべながら口を開く。


「ああ~。その件ならば大丈夫だって父さん~。胃の方は神経的なストレスからきている潰瘍。初期の異潰瘍を患っていると担当の先生が僕に教えてくれたよ。だから今後? 入院を続けて、薬投与し安静をしていれば。父さんの容態は直ぐに良くなるから大丈夫だと。担当の先生が先程僕へと告げ教えてくれたから大丈夫……」


 だと僕は、自身の願望……。


 そう、叶わぬかも知れぬ自身の夢と想いを。胃の末期癌である我が家の父へと平素を装い。笑みを浮かべながら説明をしたのだ。


 すると我が家の父は、僕の説明を聞き「ふぅ~」と、溜息なのか、安堵からきた声なのか、僕にもわからない台詞を漏らし。


「そうか?」と、短い言葉を僕へと告げてきたのだ。


 だから僕も父に対して、相変わらず平素を装いながら。


「うん」と、彼のよう短い言葉を返したのだ。


 父の入院の為の身支度をする『フリ』をしながら俯き。僕の心の中の奥底に隠ししまい込んだ悲しみの心を父に悟られないようにしながら。



 ◇◇◇◇◇

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