第5話 僕の父が倒れる……(3)

 僕は声を大にして叫びながら告げたのだ。父の身体に触れ、触り、摩り労りながら声をかけた。


「父さんー! 大丈夫! 大丈夫だからねー!」


 再度父を励ます台詞を告げながら。


 それでも彼は、「うっ、ううう……」と、痛みに耐え忍びながら悲痛な声しか漏らしてこない。


 だから僕は更に自身の顔色を変える。ではいけない。とにかく父の容態を見れば急を要することだと言うことは、僕にも理解できる。だから僕は、「ハァ~」「フゥ~」と、深呼吸……。とにかく、父の痛々しい様子を凝視して、自身の顔色を青ざめながら動揺、動転。慌てふためき、『どうしよう? どうしよう?』と、思っている自分の気を落ちつかせることに専念する。でッ、その後は? 先程横たわり唸る様子の父に告げた通りの『救急車を直ぐに呼ぶからね』の通りで、自身が履くスラックスのポケットからスマートフォンをとりだして【119番通報】を押して、自分自身の耳へと当てて──。


「もしもし」と僕は、スマートフォンへと話しかけるのだった。



 ◇◇◇◇◇

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