4,おいおい、冗談だろ? こいつはまいったな
「――もしもし」
「……」
「――もしもーし」
「……ううっ」
「すみません、そろそろ図書室閉める時間なのですが」
目を覚ますと目の前に女子の顔があった。
名札には日高。
いつもの図書委員だ。
声を聞いたのは初めてだけど。
黒髪ボブカットに幼女チックな声。
案外可愛い顔してんだな。
っと、変な夢を見てたせいで、まだマインドフルなのか。
女子と話すのも苦手だったんだが。
なんか今なら何でもできそうな気がする。
夢でもアンヌは俺にメロメロだったようだし。
「あんた、可愛いな。今度デートしねーか?」
そう言って立ち上がる俺。
顎クイっしてみる。
「……変態さんですか?」
「は?」
彼女は目をそらすように呟いた。
「着てください……服」
「は?」
どうゆうことだと思いながら下半身に目をやると……
俺は腰に布切れ一枚のほぼ全裸姿であった。
「夢じゃなかったのかよ!!」
俺はまだ仙人だった。
やべえな、学生服も見当たらない。
向こうの世界に置いてきちまったようだ。
しかしマジだったのか?
異世界召喚?
俺はさっきの本を探した。
床に落ちていたのでペラペラめくってみるも、何も起こらない。
同じ時間にゲートを通って……か。
1日1回しか召喚できないのかな。
学生服だけでも取り戻したいところだが。
とりあえず逃げるように自分の教室へ戻り、体操服に着替えた。
そういや、魔法はどうなんだ?
まだ使えるんだろうか。
「……ファイアボール」
辺りがまた瓦礫の山になっても困るので、消え入りそうなほどの小声で魔法を唱えてみた。
すると手のひらからライターほどの火が出現。
「……ふむふむ」
使えちまった!
下手したら世界に革命を起こせるぞ。
わくわくどっきどき。
明日の放課後も楽しみだ。
アンヌとも仲良くなりたい。
色んな意味でも仲良くなりたい。
「ムフ」
翌朝、俺は異世界へ行くまでに色々と自分の能力について試してみることにした。
ちなみに昨晩試してみた瞑想スキルの効果は、【瞑想中、探したい人がどこにいるかを知ることができる】というもののようだった。
ただその人物自体を思い浮かべられる場合のみ有効なようだ。
さて、問題の魔法だ。
家にあるRPGの攻略本を持ち出し、魔法の種類や名称などを覚え、実際に試していくことにする。
試せる範囲でだけどな。
俺は火と空間の魔法が使えるようだから、そこんとこ詳しく。
まあ、火はこの狭い日本で放ったらヤバそうだから、異世界で練習するとして。
空間魔法か。
アンヌを転移させることには成功したので、人の転送が可能と考えてよさそう。
こうして俺自身で試したところ、一瞬で学校に着くことができた。
早く登校できたので、他にも試すことに。
結果、転移は自分が見たことのある場所しかいけないことが分かった。
テレビで見た場所というだけでも行けたのだが、学校の女子更衣室には行けなかったからだ。
かなしす。
例の異世界にも転移はできなかった。
やはりゲートを通るという行程が必要なようだ。
転移ではなく召喚と言ってたし。
さらに昼休みにはRPGの攻略本に載っている空間魔法をいくつか試してみた。
それにより3つの魔法が使えるようになった。
【4次元アイテムボックス】【防御結界】【空中浮遊】の3つだ。
アイテムボックスってスキルじゃなく空間魔法に分類されるのか。
ラッキー、便利だよな。
こっちの世界のものも持っていければ尚良し。
ものは試し、攻略本を放り込んでみることにする。
そうこうしてると、放課後がやってきた。
図書館へれっつごーだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます