150階はスピードの世階

150階、ここの住人は、誰もがスピードの追求に異常なまでに取り憑かれている。

階層の中心に、都市一つを格納できる程の巨大なレース場があり、毎日のように凄まじい速さでレーサーたちが疾走している。


しかも、最高のスリルの追求と称して、走行中にバナナの皮や亀の甲羅を投げるという危険な行動をするものだから、レース中の死傷者は絶えることがない。もっとも、何人の命が犠牲になろうと、彼らにそれを止める気は、さらさらない。


シグナルが赤から青へと変わる。

観客たちが歓喜の声を上げ、熱狂の波に飲まれていく。


狂気のレースが開幕するのを見届けた私は、【箱船エレベーター】に乗り込んで、次の階へ向かった。


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