22階は二人だけの世階

そこに住むのは、女神様の気まぐれで選ばれた2人の少女だ。


彼女たちが毎日欠かさず手入れする美しい花園の真ん中には、大きな木が立っており、その果実を食べ続ける者は、決して老いることがない。


この世階と別の世階を繋いでいた唯一の【箱船エレベーター】は、苔とツタに覆われている。動かなくなって、もう何百年経つだろうか。


彼女たちは、今日もまたのんびりと、永遠に続く命を謳歌しながら、愛の言葉を囁き合う。ここは、彼女たち二人のための楽園なのだ。


              *


「まったく、アンタったら、ホント邪魔なんだから。【箱船エレベーター】の修理が済んだら、さっさと出てってよね。あっ、アンタが出発したら、【箱船エレベーター】は壊しとくから、もう二度と来ないでよ」

「他の階層から旅人が入ってくることなんて無いと思ってたのに、変な裏道があったみたいね。あとで、塞いどこうかなあ」

「うう、突然、入り込んでしまって申し訳ない……これには色々と事情が……」

「どんな事情があろうと、美少女二人の入浴を覗いた罪は重いわよ」

「お風呂の中にいきなり出てくるなんて、ただの変態だよね!」

「……」


階層移動中のトラブルで、二人の楽園に迷い込んでしまった私は、ただただ気まずい。どうやら、私はこの世階には、とんだお邪魔虫のようだな……。

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