公園

 僕らは放課後に公園のベンチに座った。


「ねえ、あんなことした後だけどね、私中村君のこと気にいっているのよ」


 冷夏は僕にそう言った。


「僕だってまさか君みたいな美少女に話しかけてもらえるなんて思わなかった」

「いつからだろうな。こうやって一緒に過ごすことを考えていたのは」

「え?」

「だからさ、君とこうやって一緒に過ごすことを考えていたのは」

「昔から僕のことを知っていたの?」

「そりゃあ知ってたよ。私はいつも君のことを見ていた」

「どうして僕なんかのことを」

「なんでだろうね?」


 放課後僕らは公園のベンチの上で話をしていた。僕はただどきまぎしながら空を見たり、公園の遊び場を見たり、そして彼女のことを見ていた。

 冷夏はただぼんやりと僕の隣で居心地がよさそうに座っているだけだ。


「何か飲みものでも飲む?」

「コーヒーが飲みたいな」

「いいよ。買ってくる」


 僕は近くの自動販売機まで歩いていく。

 僕は手元が汗ばんでいることに気づいた。どうしたっていつもそんな感じだった。

 僕はコーヒーを二つ買って彼女の隣に戻った。


「私もそんなにクラスに友達いるわけでもないしさ」

 

 彼女はそう言った。


「そうなの?」

「だって私のこと知らなかったでしょ」

「そりゃあそうだけどさ」


 僕たちはその日、日が暮れるまで公園のベンチに座っていた。


「また明日ね」

「うん」


 僕らはそんな感じで別れた。

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