放課後

 僕はその日、一人で授業を受けた。

 放課後になると冷夏がドアの外からこっちを見ていた。

 僕はバッグをもって、ドアまで歩いた。


「あ、中村君」

「あ、高峰」

「今日暇?」

「別に暇だけど」


 僕らは二人で並んで階段を下りていった。

 僕と冷夏の二人で並んで歩くというのも奇妙な感じだ。


「中村君はさ、友達いるの?」


 冷夏は不思議そうに僕に聞く。


「いないよ」


 僕は静かにそう言った。

 階段を下りていく。下駄箱まで歩いた。


「なんかさー、いっつも一人だよねー」


 冷夏は下駄箱から靴を取り出しながらそう言った。


「僕のこと知ってたの?」

「そりゃあ知ってるよー」

「なんで? 隣のクラスだろ?」

「前に会ったことなかったっけ?」

 

 僕は記憶をめぐらせてみた。


「あったかな? そんなこと?」

「あったよ。私知ってたもん」

「どこでだよ?」

「うーん。どこでだっけなー」


 僕らはそんな会話をしながら、下駄箱から外に向かっていく。

 外には運動部がいて、練習の準備をしていた。

 僕らは外を歩いた。


「最近寒いよね」


 冷夏は僕にそう言う。


「確かに寒いよね。もう秋だもんね」

 

 僕は冷夏の隣を歩く。どうしてか奇妙に思った。


「そういえばさ、昨日のことだけど……」


 僕は切り出した。


「何? また見たくなったの?」


「違うよ。なんであんなことしたのかなって」


「ひみつー」


 僕らは学校を抜けて外の通りを歩いた。

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