パンツ

「パンツ!?」


 僕は思わずそう言った。冷夏は相変わらず恥ずかしそうにしている。

 僕らは向き合ったまま、お互いのことを見ていた。

 髪が窓の外から吹く風に揺れている。僕の体は少し汗ばんでいた。


「いいですか?」


 冷夏は頬を赤らめている。僕はただ茫然と彼女のことを見ていた。


「いくらで?」

「五千円」


 悪くない値段だ。

 僕はポケットから財布を取り出してお金を数える。一万、二万……。

 全部で二万五千円入っている。


「別にいいけど」


 僕はさも興味なさげに言った。

 冷夏はゆっくりとスカートに手を伸ばす。

 僕はいかにも真面目そうな美少女の彼女がそんなことをするなんて到底まだ信じてはいなかった。

 窓の外から風が吹き込んでくる。遠くから運動部の掛け声が聞こえた。


「じゃあ見せます」


 冷夏はゆっくりとスカートのホックを外した。

 僕は自分の胸が鼓動するのを感じている。

 ホックを外すと、スカートは地面に落ちた。

 シャツの合間から白いパンツが見えた。

 太ももは細くて引き締まっている。

 冷夏はシャツをめくって、手を後ろにした。

 僕はただ非日常的な光景に唖然としていた。


「これでいいですか?」

「五千円だよね?」

「はい……」


 僕は恥ずかしさをこらえながら、財布を取り出した。


「もういいよ」


「これで十分?」


 シャツにパンツ姿の小柄な彼女は僕にそう言った。


「じゃあこれ」


 僕は彼女に五千円札を渡した。


「あのっ」


 彼女は僕が部屋を出ていこうとすると、そう呼び止めた。


「何?」


 僕は返事をする。


「私の家お金なくてそれで……」

「わかってるよ」

「誰にも言わないでくださいね」


 僕は音楽室を後にした。相変わらず胸は鼓動していた。

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