『妄想』

 誰かに側にいてほしいと、そう思ったときすぐに連絡できる人が、私にはいるだろうか。スマホの画面を操作して連絡先一覧を見る。

「いないな」

 そんなに気軽に連絡できる人なんていない。どんなに仲が良くても、連絡できるかどうかは違うと思う。でもだとしたら、どういう人が連絡をできる人なのだろう。どこまでの仲なら気軽に話せるのだろう。

 彼氏でもいればいいのか。いたことがないから分からない。彼氏がいたところで、気軽に〝会いたい〟なんて言えるだろうか。結局私は言えないと思う。妄想の中でなら、相談相手なんかいくらでも創れるのに。

 妄想の中の相談相手はどういう人物だろうか。

「まず男よね」

 同性だと共感しすぎてしまうのだ。もっと客観的に私の話しを聞いてくれる人がいい。だからと言って他人すぎてもダメだ。こんなに都合のいい人が存在するわけがない。だから妄想なのだ。

「私のすべてを受け入れてくれる人」

 これだ。究極的にはこれなのだ。これだけでいいと言ってもいい。

 私を受け入れてくれて、優しく抱きしめてくれる人。私と……

「心中してくれる人」

 ここまできたら信頼できる。どんなことでも話せる。

 どうしたらそんな人見つけることができるのだろう。

「いつか現れるのかな」

 いつかっていつだ。運命の王子様が現れる保証なんてない。なのにそれをいつまでも信じて待てというのだろうか。

「そんなの待ってたら、現れる前に私が壊れる」

 そもそもどうしてこんなことをグダグダと考えているのかといえば、今私は助けを求めているからだ。もうどうしようもないくらい苦しいから誰かに話しを聞いてもらって解決したいのだ。いや、解決まではいかなくていい。安心がほしい。心安らぐ場所が欲しいのだ。

「早く……早く来てよ」

 もうダメだ。少し前までは寝れば思考を止めることができ楽になれたのだ。けど、いまは寝るまでが大変だ。寝るのが怖い。だからといって起きていたら明日がきつい。休みたい。私は休みたいんだ。

「今日はもう寝よう……寝れないけれど」






 明日は多分、救われる

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