子供が苦手な理由

@paltian

子供が苦手な理由

俺は子供が苦手だ。

 理由は単純で、煩いからだ。

 そりゃあ全員がそういう訳ではないというのはわかっているし、子供が好きな人がいることもわかっている。でも大多数はそうだろう?

 だが俺にも子供の頃があったこと確かだ。しかし、いつからか子供が苦手になっていた。

 今日はその理由に気付いたときの話をしようと思う。


 俺の職場から徒歩五分程のところに公園がある。俺は雨の日以外はそこのベンチで昼食をとることにしている。

 いつもなら公園にいるのは基本的にジジババなのだが、八月という時期のせいで子供たちが遊んでいた。

 子供は苦手だといったが、日頃からの習慣を崩すのもなんだか癪なのでいつも通り昼食を食べていた。

 すると、一人の少年がベンチの隣で俺と同じように昼食を食べ始めた。しかも、あろうことか話しかけてきた。

「おじさんは会社員?」

 恐れ知らずか。だが無視するのは気が引けたので話してみることにした。

「ああ、そうだよ」

「へー」

 いきなり話しかけてきたと思ったら、それ以上何も聞いてこない。子供相手でも気まずい。まだまだ昼食も残っていたのでこちらからも質問をしてみた。

「君はなりたいものとかあるの?」

「えーと...僕はサッカー選手になりたいんだ」

 少年はちょっと恥ずかしそうに答えた。

「サッカー選手か、なるのは結構大変だと思うぞ」

「そうらしいけど、僕はなりたいんだ」

「へぇ、かっこいいから?」

「うん!」

 即答された。それと同時に否定から入る自分に嫌気が差した。

「そうか、頑張れよ」

「うん、ありがとうおじさん、じゃあね!」

 そう言うと一足先に食べ終えた少年はすたすたと子供たちの中に戻っていった。

 子供と話したのはいつぶりだろう。今の会話を思い出すと胸が少し締め付けられるような感じがした。

 この感覚は高校時代のあの時の感覚に似ている。高校時代にいつのまにか自分が子供ではないことに気付いたあの時の感覚に。いつのまにか自分の夢が、普通の会社員になっていたことに気付いたあの時に。

 子供の眩しさは俺の子供だった頃の夢まで照らしてくる。それはあまりにも煩い。煩すぎる。

 だから俺は子供が苦手なのだ。

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