第3話 別れ
彼女は彼の最後の言葉にまったくと言っていい程反応しない自分に驚いていた。
雪絵は背凭れに体を預けると天井を見上げ
ため息を付くと「最高って、別れの言葉としては最低ね。」と捨て台詞のように呟いた。
1人としては広い店内に彼が出て行った事を知らせる様に潮風が室内に漂い、湿気が雪絵の肌に纏わり付いた。
バーテンが彼女の前に立ち「1杯作りますか」と声を掛けてきた。
彼に視線を向けると彼女は「ドライマティーを一杯作って下さい。濃いめで。」と答え彼は頷くとその場を離れた。
「儚い物ね、恋なんて」と彼に向かい雪絵は話しかけると彼は「恋は一瞬で始まり、一瞬で終わる。だから切なく、儚い物です」
言い直ぐに「失礼しました。余計な事を言って」と謝った。
彼女はその言葉に「スッキリしました。」と答えると彼は会釈した。
彼はグラスを彼女の前に置くと「濃いめで」
と言い笑みを浮かべた。彼女は「マスター優しい方ですね」と言うと彼は「女性には皆優しいです。特に綺麗な方には」と言い離れて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます