第2話 葛藤
「俺達何年位一緒にいる」と彼は問いかけ
「2年位。でも気持ちはあの時のまま」
彼女は彼に視線を向け。彼はグラスの淵を手で回しながら、一言「御免、雪絵の気持ちとは違う」と低く答えた。
彼女に込み上げる感情と一瞬にして消え去る過去とが頭の中で交差し、黙っていると胸の奥から惨めな自分が今にも顔を出すような感情になり思わず「図星ね、馬鹿にしないで」と声が出てしまい、その言葉は余計に彼女を惨めにさせた。彼女は冷静に取り作るように喋り始め、
「全てお見通しだったという事ね。最近連絡なかったから、何かあるとは思っていたけど今夜だとは思わなかった。」と音程を確かめる様に
「今日で終わりしたのなら、そうしましょう」と最後の言葉を彼に言うとグラスに口を付けた。動揺を見せまいと彼女は今グラスを持つ手に集中していた。
彼は「雪絵、理由を聞きたいと思うか」と彼が言い「話したいの」のき返した
「聞きたいのなら話す」と彼は返答した。
「時計は巻き戻せない。過去は綺麗なままで良い」と髪に手を添え
彼は黙ってただ前を見ているだけで、彼女はその仕草に無性に腹が立ち「早く行けば。待っている彼女の元へ」と込み上げる感情のままに声を出し、彼は彼女を直視せずに頷くと革の丸い筒に差し込んである紙を掴むと立ち上がり「雪絵は女性として最高だ。でも俺にはそれが重たかった」と言い残しその場を去って行った。
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