卑屈という感情は厄介である。どれだけ注ぎ込まれた愛情も、この感情が何もかもなかったことにしてしまう。ともすれば愛情を注がれること自体を侮蔑する。カラスが卑屈な心を持つに至るのは致し方ないかも知れない。しかしその心に固執し、王様から与えられたものを侮蔑でもって冷笑する。そんなカラスはある意味可哀そうだとも言える。卑屈さは、歪んだ自己愛のひとつではないだろうか。失って初めて気づく。気づいた時はもう遅い。簡単に読める、でも読み流せない。辛口のイソップ童話のようなお話。