第5話 2日目 第6試合 後編
ラスティアが仕掛けてきそうな雰囲気だったのに、突然、何やら考え事を仕出した。
(対戦相手の前で、考え事とは随分余裕だなー。今のうちに………。)
そう思った愛梨菜はなんでもBOXに手を入れた。
そして、愛梨菜が取り出したのは爆弾とライターだった。
(アニメのお約束よね!この
カチッ。
導火線に火を点ける。
3……2……1………っ!!
「えいっ!」
愛梨菜がラスティアに向かって爆弾を投げた。
次の瞬間、ラスティアの目前で爆発し、もくもくと物凄い量の煙が出てきた。
あっという間にフィールドは煙に覆われ、辺りは何も見えなくなった。
観客は煙が晴れるのを今か今かと待ち構えていた。
(これだと、おじさんが死んだかどうか、分からないじゃん!まあ、死んだとは思うけど…。)
「おおっと。これは、まさか!?愛梨菜ちゃんが優勢のまま勝利か!?そして、勝つためなら手段を選ばない愛梨菜ちゃん、エゲツない!!」
ほとんどの人が愛梨菜の勝ちを確信した時。
霧の中から無傷のラスティアが現れた。
(何で!?確かに爆発したはず。何で無傷なの!?)
「おお!!まさかの展開です!!爆発をものともせず、無傷で出て来ました!!どうやったのでしょうか!?」
「ただ、『熱量操作』を使って、自分の温度を爆弾が爆発した時の温度と同じにしただけだ。」
(はぁっ!?そんなの知らないし!チートじゃん。どうしたら勝てるの!?そうだ……あのおじさんの弱点をつけば…。)
「ねえねえ、おじさん。 おじさんは、おうさまでしょ? たいかいにでていいの? はやくもどらないといけないとおもうよ?」
「うっ。まあそれはそうなのだが…。リーグレッドのお墨付きだし、大丈夫なはず……(多分)。」
ラスティアが自分自身に言い聞かせるようにして言い訳していると、ラスティアの連れの男が観客席の中ほどから、最前列に走ってきた。
「ラスティア様!相手を場外にしたら、殺さなくてすみます!早くこちらに!」
「なるほど、その手があったか!今行く、アーデン!」
ラスティアは連れの男に返事をすると、愛梨菜の方へ、向き直った。
「大丈夫だよ、お嬢さん。お嬢さんが気になるようなら、直ぐに終わらせてさしあげよう。では少し失礼、お嬢さん。」
「わっ。」
愛梨菜が軽々とお姫様抱っこされる。
(何とかしないと、このままじゃ、場外負けだ!なんでもBOXを使おう!)
愛梨菜はなんでもBOXに手を入れ、剣を出そうと、手をなんでもBOXから出した。
その手には、何も握られていなかった。
(なんで!?なんで剣出ないの!?)
「お嬢さん。無駄な事だよ。何も出なかっただろう?その理由を教えてさしあげよう。さっきの爆弾とライターで使用回数の上限に達したんだ。つまり、なんでもBOXを100回使いきってしまったということだよ。さて。この大会はここまでだ。さらばだ、お嬢さん。」
ラスティアはそう言って、
「試合終了!桜 愛梨菜選手、場外。よって勝者、ラスティア・ベルバラート!」
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