ループ二度目のシンデレラは人生最後までハッピーでいたい1

 童話のシンデレラはハッピーエンド。

 だけどそれは王子とシンデレラが結婚するまでの二人の人生を、そこでぶつっと切った場合の話だ。

 要は二人の人生の一面に焦点を当てたに過ぎない。

 童話の登場人物たちだって文字にならない所で歳を取る。


 だから、ぶつ切りにしたその先、読者には決して語られない二人の人生の続きまでがハッピーとは限らない。


 そして私はその後のシンデレラの悲惨な結末を知っている。


 だって私は――シンデレラだった。


 だけどその後、現代日本人女性に生まれ変わってシンデレラの記憶なんてすっかりないままに三十年くらい生きた。

 階段から足を滑らせて運悪く昇天した人生だったけど、ゲームや漫画・アニメが趣味でその手の知識と言うか免疫は培われていた。

 詳しく言えば、趣味と言うかオタクそのもので、給料をほとんど注ぎ込む月もあるくらいに深くのめり込んでいた。

 でも、そのおかげで私は自分の現在の状況も割とすんなりと把握できたのだ。


 ああ、そう言うパターンか……と。


 因みに、置かれた現在の状況とは何ぞや?

 それは残念至極、残酷非道、神様の意地悪~っと罵倒せずにはいられない状況だ。

 だって私の目の前ではシンデレラを死に追いやった男が幸せそうに微笑んでいるんだもの。かつて私が陶然となって見つめたのと全く同じ笑みで。

 この男はこの先この顔でガラスの靴を手に私に永遠の愛を約束するんだっけ。


 ……守れなかったくせに。


 反吐が出そうになった。

 シンデレラ、かつて、そして知っているストーリー。

 そう、私は何の因果か日本人なら誰もが良く知る童話の中に再び戻っていた。


 ループ二度目のシンデレラとして。

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