第14話

「うわぁ!泊くん、すごい!」


「え?泊?そんな出来るやつだった?」


「すごいね!」


体育の授業、ハードル走で僕と満井の順番になって走ると、すごい歓声が上がった。


そりゃそうか。


ハードルを全部倒してから、すごく遅れてゴールしていた僕が一つも倒さずに華麗にゴールして一緒に走った人を待っていたのだから。


「いったい、どうしたんだ?100メートル走も凄かったよな?」


「特訓の成果かな。」


澄ました顔をして言ってやった。


僕はみんなにちやほやされる時間を思う存分楽しんだ。



────



「それにしても、いったいどうしたんだよ?教えてくれよ。」


今日は、三笠さんに誘われなかった様子の坂田が放課後になった途端に僕の席に駆け寄ってきた。


「ん、そだなー…………実はね」


少し勿体ぶるフリをしてからあった事を暴露する。


それを聞いた坂田は全然驚いてなかった。


「何で、びっくりしないの?」


「いや、今冗談で聞いてないから、ほんとの事話してくれよ?」


「いや、冗談じゃないし。話だけじゃあ信用出来ないだろうけどさ、テストの満点とか運動能力がびっくりするくらい上がってただろ?UFOとか超常現象と同じでハッキリ見てからじゃないと信じてくれないだろうからって、いろいろ見せたのになぁ。って、ほんとは自分でもどんな機能が付けられたか分かんないからテストとか運動出来てびっくりしてるんだけど。」


「マジか…………」


ようやく、坂田が驚いている。


「うん、マジみたいだ。どうやら、できる子の仲間入りしたみたいだ。」


「マジなのか!」


何だかじわりじわりと驚きがやって来ているようで、坂田が少しずつ興奮し始めた。


「すげぇ!そんなん、本当にあるんだな!マジでか?どんな事がやれんの?」


坂田の鼻がすごく大きくなってる。


「どんな事がやれるのかは僕にも分かんないんだって。何か適当にいろいろ機能を付けられたらしいから。僕を改造した人たち、処分されて長期休暇中だから聞けないし。」


「え、適当に機能付けられた?改造した人処分された?」


坂田の声のトーンが少しずつ下がってきた。


「それって、大丈夫なのか?聞いた限り、ヤバそうにしか聞こえないけど…………」


何故か、坂田が泣きそうな顔になっている。


「大丈夫、大丈夫!すんごい能力フル活用して、いろいろ満喫しまくる予定だから。僕の人生夢いっぱい!」


「まあ…………泊が楽しそうだからいいか。」


僕は、呆れた様子の坂田に歌いながら「大丈夫だぁ~」と言ってやった。


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