第12話

早めに成長期が来て、大して身長が伸びなかった僕にとっては嬉しいことだが、そんな一年経ったくらいで再び成長期とか来るんだろうか?


「あれ?やっぱりそれも、ファティマスとかトロイカから聞いてないみたいだね。」


哀れみの目で見つめられて、僕は口を尖らせた。


「はい。何にも聞いてないです。昨日の話以外は全く。」


「君にはいろんな機能が付いたから、それに使うエネルギーも必要になってるんだ。だから、けっこうお腹は空くよ?」


「そうだったんですか。」


お腹がしょっちゅう空くのは困るが、テストで良い点とったりとかのためにだったら全然平気だ。


「さて、食べ終わったら早速君の身体をチェックさせてくれるかい?その後だったらそれ食べるのも、質問も焦らないから。」


「わかりました。」


僕は、慌てて手に持ってるお菓子を皿の上に置いた。


「こっちの部屋。」


「はい。」


隣の部屋を示されて中に入ると、そこにはこの家に不似合いな機械がたくさん置いてあった。


僕は、トーナさんの向かい側に座った。


「まずは、問診。」


体調やら、今日一日の出来事やらを訊ねられる。


一つ一つ答える度にトーナが分厚い本のようなものにメモしていく。


「次は、機械で体内を調べさせてください。特に心配するような事はしませんから大丈夫。ここに横になってください。」


言われた通りに厚手の布が敷かれた細長くて低めの台に横になる。


布がずれないか少し心配したが、固定してあったようで大丈夫だった。


僕が横になると、手のひらくらいの大きさの機械を頭から順番にかざし始めた。


身体の上を行ったり来たりする、それは痛さもくすぐったさも、何の違和感もなくて本当に検査されてるのだろうかと思ってしまうほどだった。


「そう言えば、僕が手に入れた能力を教えてもらっても良いですか?」


僕は、黙っててとも言われてないので喋り始めた。


「あ、君の能力…………ねぇ。」


すごく困った顔をしているトーナさん。


そんな、言えないような能力なのだろうか。


僕は返事を待った。


「実はね、いろいろな昨日を手当たり次第付けてあるみたいでね。僕らの方が知りたいくらいなんだ。」


「え?ファティマスさんとトロイカさんが付けたんでしょ?二人に聞けば良いじゃないですか?」


「二人はすごく適当に業務をこなしてたみたいでね。全然覚えてないって言ってるんだよ。だから、君の身体にどんな改造がされたかは力が出てからじゃないと分からないんだ。」


「そんな…………」


適当に改造されたとか、あり得るのか?


いや、あり得るから僕がそんな事になってるのか。


「…………あの、二人は何処に?」


僕は、せめて一言言いたいと思って訊ねた。


「二人は、他にも同じような事をやってて、上層部から処分を受けて長期の休みに入ってるよ。」


「それって、適当な二人にとっては楽しいバカンスってなってませんか?」

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