第11話
もう、異世界人様々だと思い出し笑い。
「ニヤニヤして黙ってないで、何があったのか教えてくれよ?」
僕は口元を引き締めるために、頬っぺたを叩いてから口を開いた。
「…………あのな、」
僕は言いかけて、三笠さんが坂田の後ろに突っ立ってるのを見付けた。
今日も、坂田に何かをお願いするのだろうか?
僕の視線が何かを見ていることに気付いた坂田が振り返る。
「み、三笠さん!」
坂田、声がひっくり返ってる!
「あの、坂田くん、これ。…………昨日と一昨日いろいろ手伝って貰ったから。」
「あ、ありがとう。」
二人とも顔を真っ赤にして、俯いている。
これは、お互い好意があるって丸わかりだ。
本人たちは、顔も見れないくらいに緊張してるから気付かないだけで。
「あぁあ~…………」
その場の、雰囲気に僕まで照れてしまう。
「僕、先帰るから~」
僕は坂田の返事を待たずに、逃げるようにその場を後にした。
また、お腹が空いてきたからファミレスにでも寄って行こうと思って時計を見たが、やはり食べてる最中とかに強制的に帰らされそうだ。
それなら、早く家に帰ってパンとかお菓子を食べる方が途中で行くことになっても諦めがつく。
僕は歩みを早めた。
────
「…………それで、こんな早くなったんですか?」
僕は不機嫌さを隠さずに呟いた。
目の前には、トーナさんがいる。
「そう。だからね、早く終わらせたら早く帰れるから。」
懸命に僕の機嫌を取ろうとしている。
「いや、ここに来るのが嫌とか早く帰りたいとかは全然ないんですよ?僕、今すっごくお腹が空いてて、パンを食べようとしてたんです。」
そう、僕が家に帰ってメロンパン見付けたから大口開けて貪ろうとしてた所で、こっちの世界に引っ張られたのだ。
だから、結局パンは食べれてない。
「帰ってからの晩飯とは別に今食べたかったんですよ?」
言外に「そこんとこ分かってます?」という気持ちを込めて言ってやった。
「そしたら、ここで何か食べていく?」
「え?良いんですか?」
途端に自分の声色が明るくなった事に気付いて僕は恥ずかしくなった。
「はい。これどうぞ。美味しいよ~」
トーナさんから受け取ったのは、茶色い棒のようなもの。
「これ、何ですか?」
僕は訊ねながらも、躊躇う事なく口に運ぶ。
「うまい…………」
「でしょう?僕の手作りお菓子だよ。モラの実の粉とかを捏ねて焼いたやつ。」
「これ、どんだけでもいけそうです!」
「それにしても、何でこんなにお腹が空くんだろう…………また成長期が来てくれたのかなぁ。」
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