第2話 ソフトクリーム

俺は夏休み中の登校日を勘違して登校し、誰もいないはずの教室にいた一人の女子生徒に出会い、なぜか今、一緒に帰宅中。


んー、やっぱり見覚えないんだよなぁ。

あ、名前聞いてみるか。

「あのさ、君名前なんていうの?」

すると彼女は言った。

「私?」

いや、お前しかいないだろ。

「うん。」

「私の名前は、ハヅキ、『中村 葉月』クラスは1組。」

中村 葉月…なんか、聞いたことあるような、ないような…。

「へぇ。俺は––––––––––

名前を言おうとした途端俺より先に彼女が言った。

「リュウセイっ!『矢野 流星』でしょ?」

「あぁ、そうだよ。なんで知ってんの?」

「ふっふっふっ、なぜでしょう(笑)」

彼女はドヤ顏で笑っている。なんか、嬉しそうだな。

俺たちは校門を出た。

「中村さんは家どこなの?」

「最寄り駅は坂町!」

「あ〜じゃあ俺とは逆だね。」

「リューセーん家はどこなの?」

おお、呼び捨て。

「大山町だよ。」

「大山か〜、いいところだよね〜。」

「そうだね。何もないけど、すんげぇいいところだと俺は思う。」

「わかるな〜。」

…少し間が空く。すると彼女が喋りだす。

「いや〜今日も暑いね!」

「そうだね。夏だからね。」

「なんで夏ってこんなに暑いんだろうね〜。」

俺と同じこと考えてる。

「なんでだろ〜な〜(笑)」

「なんで笑ってんのよ。」

「いや、なんでも(笑)」

「あっそー。…でも、私は夏が『大好き』なんだ。流星はどう?」

夏か…

「俺は特に好きとかはないな。」

「そっかー。」

そんな会話をしながら俺たちは一緒に歩いた。

駅の近くまで来た。すると彼女が言った。

「ちょっとコンビニ寄らない?」

「おう、いいよ。」

休憩がてらコンビニに寄った。二人ともアイスを買った。そのアイスをコンビニの外のベンチに座って食べた。

「美味しいね〜!」

「あぁ、おいしい。」

彼女はソフトクリームをおいしそうに食べながら笑ってた。俺はチョコレート味。彼女はバニラ味だった。

この暑さのせいかはわからないけど、今日のアイスはめちゃくちゃうまい。

もう食べ終わるというところで彼女は言った。

「ん〜、やっぱり抹茶にすればよかったなぁ〜。」

「えぇ、抹茶っておいしくなくね?」

俺は抹茶系の食べ物は一切食べられない。

「えぇ?何言ってんの?!抹茶すんごい美味しいじゃん!」

「いやいや、むしろまずいわ。」

「はぁ〜?抹茶食べれないとか人生半分損してるしっ!」

「半分って、人生に抹茶はそんなに影響しね〜よ(笑)」

「するし〜っ!(笑)」

「しない〜(笑)」

「するの!(笑)」

「あーそーですか(笑)」

俺の負けだ(笑)

彼女とは今日初めて会って、初めて話したのになぜか喋りやすかった。それに話してて楽しかった。

俺たちはアイスのゴミを捨てて駅に向かった。とは言っても、駅とコンビニは隣。すぐに駅に着いた。

「じゃあ、お疲れさん。」

俺がそう言うと彼女は返した。

「うん、おつかれ!(笑)明日が登校日だからねっ!」

「わかってるよ〜。」

「それじゃあ、また明日!」

「おうっ。」

そう言って俺たちは別々のホームへ行った。

ホームで電車を待っていると、反対側のホームで彼女がこっちに向かって手を振っていた。俺は軽く胸のあたりまで手を挙げた。

すぐに彼女側の方の電車が来た。

電車が去って行った後の反対側のホームには誰もいなかった。

数分後に俺の方も電車が来てそれに乗った。朝来たのと同じ道を電車で戻る。電車の中にはおばさんが一人。車内からはアパートや、喫茶店などが見えていたが、駅を超えていくのに連れて、景色は田んぼと山になっていく。

景色を眺めながらボーっとしていたら、いつの間にか大山町まで来ていた。


「中村 葉月…面白い奴だったな(笑)」










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