第5話 教室内でエロゲトーク、良い子はマネしないでね!

「ところでさっき言ってた素敵な出会いっていうのは――」

「昨日見られた、しかも店の真ん前で」

「あーらら、女の子には刺激が強いぞー」

 お前女じゃなかったのか。

「ところでカズ、あの子になんかしたの?えらい嫌われようだけど」

「ああ、俺が中学の頃テニスやってたのは話したよな?」

「うん、カズがリア充全開で女の子はべらせてた時期の話だよね?」

「お前テニス部への偏見すごいな」

 そんな時期はこれまで一度も無いし、未来永劫あるわけねーだろ。

「まあどうも俺がテニス辞めていたのが気に食わなかったらしい」

「ふーん、まあ憧れの先輩が、次あった時にエロゲこそこそ買ってる変態になってたら幻滅するよね」

「ほっとけ、てか原因はお前だからな?」

「後悔は?」

「微塵もしていない」

 ていうか後悔しようものなら、それこそ今度はめぐるに失礼だ。

 たとえエロゲであろうと、勧められて、ハマったのだから後悔せずにやり通すのが、礼儀って物だろう。

「ていうのが俺の持論なんだけど、どうよ?」

「うん、クサイね!」

 ショック。

            *


「おーす、カズー、飯食おうぜー」

「おお、めぐるか」

 昼休み、俺はいつものようにめぐると顔を合わせて飯を食い始めていた。

「確かカズもクリアしたんだよね?語り合おうぜえ」

「待て待て、二人とも同じキャラ攻略してるとは限らないだろ?」

「おお、それもそうだ。私銀髪の子にした。カズは?」

「あー、俺は黒髪ショートの子だわ」

 むう、別れてしまった以上共通ルートの内容でしか話せないな……。

「……その子って後輩ポジの子だっけ?」

「ああ、そうだな」

「朝の子もショートだったよね?」

 何言ってんだこいつ。

「ひょっとしてカズってさ――」

「待て待て待て!なんだその思考は!?大体、エロゲのキャラに現実の女の子を重ねるとか――」

 あれ?背徳感すごいけど、むしろ興奮できる?

 ……夏菜に言ったら、どんな目にあわされるだろうか。

 てかめぐるも俺の思考に気付いたのか、若干引き気味である。

「カズ、今お前『背徳感すごいけど、むしろ興奮できる?』とか考えてるだろ」

「エスパーかお前は」

「ないわー、引くわー、私もそこまでの考えには至れないわー」

「と、とにかくこの話は終わりだ!」

「まあ私もカズの女の子事情はあんまり聞きたくないし」

 だったら振るんじゃねえ!

 それから俺達は、エロゲについて、話せる範囲で大いに盛り上がった。

 話している時のめぐるの輝かん笑顔を見て、ふと思う。

(ああ、やっぱこいつ、女辞めてんなぁ……)

 こいつ相手にときめく?無い無い。

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