第4話 こいつらろくでもないなBLUES

 部屋でゴロゴロしながら今日会ったことを振り返る。

「しかし、散々な一日だった……」

 まさかあんな場面であいつに会うとはな……。

「けどあいつ、何であんな不機嫌だったんだろ……」

 エロゲを買っていた場面とはいえ、あそこまで怒る事は無いだろう。

「うーん、わからん!」

 そうやってゴロゴロしていると、ふと部屋の隅にあったテニスラケットが目に入る。

『はぁ……、先輩、変わりましたね』

 ひょっとして、そういう事なのか?

「けど、そんなの俺の勝手だろ……」

 俺がどうしようが俺の勝手だ。あいつにとやかく言われる筋合いはない。

「まあ良い、それよりも大事なことがあるんだった……」

 俺はゆっくりと立ち上がると、椅子に座る。

 そうだ俺にはやらなければならない事がある……。

「この日まで我慢してきたんだ、徹夜してでも一人くらいは攻略する!」

 そう、今日買ったエロゲである。

 どう言われようが知るか、俺はこういう人間だ!


            *


「ふわああ……」

 まさかマジで徹夜する羽目になるとは。

 だがおかげで一人は攻略できた、マジで泣けたなー。

 この世界を紹介してくれたあいつに感謝しなきゃな。

 お、噂をすれば、

「おーい、めぐる」

「ん、おお、カズじゃん!そのクマ、さては……」

「ああ、お前の想像通りだ。素晴らしいゲームをありがとう」

「うんうん、やっぱ喜びを分かち合える奴がいるのは良いね!」

 そう言ってクラスメイトである不知火しらぬいめぐるは感慨深そうに頷く。

 そう、何を隠そう、こいつが俺をこの世界に導いた張本人である。

「いやー、カズも良い感じに染まってきたねー」

「いやいや、お前の紹介がよかった」

 一年前、こいつは席が隣で、その時話してみると波長が合い、今ではこの通りだ。

「でもまあ、昨日はとんでもなく素敵な出会いがあったんだがな……」

「へ?それってどういう――」

「布良先輩」

 噂をすれば、か。

「おお、夏菜か、どうしたんだ朝から?」

「昨日の代金を返しに来たんですよ」

「え、あれなら別におごりでも……」

「先輩が良くても私が嫌なんです。借りとか作りたくありませんから、それでは」

「あっ、ちょっ!」

 代金を渡すと、夏奈はさっさと行ってしまった。

「やっぱ嫌われてんのかな……」

「ちょいカズ、今の娘どういうこと」

「は?どうもこうも、ただの幼馴染みだけど」

「そんなもん聞いてないぞ私は!」

 え、何?ひょっとして嫉妬してくれたり――

「何だあの抱き心地の良さそうな娘は!どうして今まで紹介してくれなかったんだよー!」

「ああ、うん、そうだよな。お前はそういうやつだよな」

 知ってたよチクショウ!

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