第2話 コーヒーといえばコピ・ルアクが有名だよね(ネタとして)
今の状況を説明しよう。
俺は今、学年のアイドル的存在、椎葉さん。
そしてかなりの美少女である幼馴染み、星鳴夏菜も一緒に喫茶店に来ている!
すごい、なんてリア充!誰もが今の状況を変わってくれと頼むんじゃ無いか!?
・・・お願いですから変わってくれませんかね?
いや、椎葉さんはまだいい、何もわかってないから。
問題は夏菜の方である。
ああ、相変わらずゴミを見る目でいらっしゃる・・・。
そして先ほどの台詞がフラッシュバックする。
『奢ってもらいましょう、お店で一番高いの』
まあまあ、待て待て。一番高いといえど飲み物。そんな大した値段じゃ――
『ゲイシャ 2000円』
チックショウ!めっちゃ高ぇ!
ま、まあでも、流石の夏菜も慈悲の心を持って――
「布良先輩、私はゲイシャで」
持ってませんでした、泣くぞ、さっきエロゲ買ったばっかで、あんまり金無いのに・・・。
そうこうしている間に、店員が注文を取りに来た。
「私は、ブレンドコーヒーをお願いします」
さすが椎葉さん!優しい!でも一番安いブレンドコーヒーでも700円だぁ!
「仕方ないですね、私も慈悲を与えましょう」
小声でそう伝えてくる夏菜。おお、さすが幼馴染――
「私はブルーマウンテン(1500円)でお願いします」
上手い心の折り方を心得ていらっしゃる……。
ええいもう自棄だ!おれもコーヒー飲む!
「お――」
「以上でお願いします」
泣きますよ夏菜さん?
喫茶店という公衆の面前で声出して泣きますよ?
そして頭を下げ去っていく店員。
俺はといえば、既にもう心をバッキバキに折られていた。
この幼馴染み……おそろしい子!
*
「すいません、ちょっとお手洗いに行ってきますね」
コーヒーが来るまでの待ち時間、椎葉さんが席を立った後で、唐突に夏菜が口を開く。
「で、先輩は何であんな場所にいたんですか?」
「なんでも何も、ゲームを買いに……」
それ以外無かろう。
「はぁ……、先輩、変わりましたね」
溜め息交じりに呟く夏菜。けど――
「それを言ったらお前もだろ。そんな敬語使ったり、先輩なんて他人行儀な呼び方してなかっただろ?」
昔は『和にい』なんて呼び方だったのになあ。
「……先輩にはわからないですよ」
「……」
「ただ今戻りました~、どうかしたんですか、二人とも?」
椎葉さんが戻るころには、俺達の間には微妙な空気が流れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます