第30話 アンドロイド禁止法

世界に再び平和が戻ったかに見えたが、事態はとんでもない方向に向かっていった。


2046年11月1日、世界連合政府は、今回のアンドロイドによる人間支配を繰り返さないために「アンドロイド禁止法」を採択した。


現在のアンドロイドを1カ月以内に処分することが決まった。


従わない場合は、アンドロイドもろとも死刑となる。


また、アンドロイドを隠し持っていた場合の密告通報が義務付けられた。密告を怠った場合は禁固刑となる。



人間に家族制度を復活させることも決まった。DNA鑑定により親子関係が明らかになる。子どもを通して、見知らぬ男女が夫婦となることが可能となった。


しかし、当然ではあるが、夫婦となる人は少数で、90%以上の人が独身の道を選ぶことになる。子どもは父親のもと、母親のもとを自由に行き来できる。どちらも合わなければ親子関係を結ばないことも出来る。幼児の場合、母になる女性が育てる希望者が多かったが、当然子育て未経験者がほとんどなので、施設に預けられる子どもも多くいた。


人工培養による人間の生産は終わりを告げる。


恋愛も自由となる。恋愛から結婚、出産の自由が認められる。男女にかぎらず同性愛・同性婚も自由となる。



釈とネルも1カ月以内に別れなければならなくなった。

出会ってからわずか3カ月での別れである。

釈もシュウも、「アンドロイド禁止法」が決まったときの衝撃は計り知れなかった。なんとか法律の撤回を日本州政府にはたらきかけたが、世界連合政府が決めたことに異を唱えることはできなかった。


ネルは、最後にどうしても伝えたいことがあるという。


そのためには、ある場所をこの目で見てみたいと言った。


それは、長崎県の五島列島である。

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