第11話 高校生時代の思い出

釈「何か変わったことはないかな?」

ネル「別にないよ。それより…」

釈「それより、何?」

ネル「うーん、何でもない。何時ごろ帰れそう?」

釈「6時くらいかな」

ネル「わかった。じゃあね」


大学の勤務を終えると、釈はまっすぐ帰宅した。

釈「ただいま」

ネル「おかえりなさい」

釈「ええっ!!」

ネル「どう?」

釈「すごいよ!ネル」

ネル「すごいでしょ?」


部屋がすっかり模様替えされていた。

古くなったカーテンやテーブルクロスは、ネルのセンスで見違えるように明るい色に変わっていた。

2017年には、せいぜいネットで注文し翌日配達するしかないが、2046年には実物大の商品が家に居ながらにして選ぶことができる。リアルスカイプ・ショッピングといったところだ。

もちろん、ショッピングセンターで買い物も楽しむこともできる。


そして、テーブルには、これもネルが腕を振るったごちそうとシャンパングラスが並んでいた。


ネル「コウさん、お仕事お疲れ様」

釈「ネルもお部屋の模様替えとごちそうを用意してくれてありがとう」

ネル「乾杯!」

釈「乾杯!」

ネルは空のグラスなのだが、こうして二人でテーブルについてくれることが、いとおしい。


こうして、二日目の夜も更けていった。

釈は、夢を見た。

遠い昔の夢だ。高校生のころの夢に違いない。

初めて、つきあった女性がいた。

名前は「ねる」

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