第4話 魔法使いです

「ところで、隣の人はお客さんなのかー?」

魔法使いが聞いた。俺は急に話を振られて若干戸惑った。しかし、さすが商人さんフォローはばっちりだった。

「彼はわけあって俺が面倒見てんだ。っていうか、魔法で彼の出身地とか分かったりしない?」

「それは無理ー。個人情報は普通の魔法使いには読み取れないさー」

魔法使いは残念そうに言うと、

「ただし、」

と付け加える。

「鑑定魔法は話が別ー。地味な代わりに他人の情報を読み取れるのが鑑定魔法、まあ、俗に言う鑑定士ってやつさー」

魔法使いは自慢げに言うと、すぐさま商人さんが

「お前はそれ使えないだろ」

とツッコミを入れた。


「それはともかくとして、今日のご用件はなにー?」

「そうだ、回復薬を十ビン頼んだだろ?そろそろ出来上がってるころだと思って」

「そうさね。回復薬十ビンで百リッシュねー」

商人さんはお金を出すと、木箱に入ったビンを受け取った。

ビンの中には薄緑色の液体が入っていて、どうやら回復薬らしい。

さすがにこれの使い方は聞かなくても分かる、というか名前のまんまだ。

商人さんがビンを運んで表に出ると、魔法使いが言った。

「それで、君の用件はなにー?」

「あ、あの。魔法が見てみたいんですけど……」

「魔法?魔法って言っても、色々あるよー。火とか水とか」

「五属性とかですか?」

「良く知ってるねー。まあ、魔法には基本五属性と環境変化二属性があるなー」

なるほど、この世界にも五属性はあるのか。けど、どうやらそれ以外もあるっぽい?

「まあ、とは言ってもそんなに重要なことじゃないね。私とかは地魔法しか使えないしさー」

「地魔法って、どんな魔法なんですか?」

なんというか、面白そうだ。ファンタジーってこんな感じなのかな。

「木とか土とか、そういう魔法だねー。あとは、回復とかかなー?」

「良いですね!そういう魔法」

「まあ、私はあんまり好きじゃないけどねー。小さいころ、レイヤに見せたことあったけど、無反応だったからねー」

あれ?なんか話が重くなってきたぞ。

「レイヤさんって、誰ですか?」

「ああ、知らなかったんだー。あの商人風の人だよー」

ってどういうことだ?」

商人さんこと、レイヤがむすっとした顔で扉を開けた。

「じゃあ、魔法見せてあげるねー」

魔法使いはそう言うと、俺の横を通り抜けて外へ出ていった。

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