第3話 魔法があるようです
「ところで、時間って分かりますか?」
ふと俺が思ったことだ。時間が分からないと、何かと不便である。
「時間か?今は大体午後4時位だ」
商人さんはポケットからブロンズの時計らしきものを取り出して言った。
どうやら時間という概念はちゃんとあるらしい。それに、今取り出したのはおそらく時計だろう。
「まあ、詳しい時間は分からないんだがな。何せだいぶ使ってるから魔導装置がおかしくなったみたいでな」
商人さんは半分笑いながら言うが、俺は聞き逃さなかった。
「マドウソウチって何ですか?」
「ああ、それも分からないのか。魔導装置っていうのは、魔法の力によって動くものだ。とは言っても時間がたてば魔法は劣化していく」
この世界にはどうやら魔法があるらしい。
ファンタジー小説でよく聞くワードナンバーワンと言っても過言ではない魔法。
それが生で見れるのならぜひとも見てみたいものだ。
「魔法、見せてくれませんか?」
俺はそう言ったが、商人さんは少し笑いぎみに言った。
「ごめんな、俺は魔法が使えなくて。っていうか魔法が使えたらそれで生計が建てられるからな」
「あ、ごめんなさい」
「いや、気にすることはない。この国にも魔法を使えるのはほとんどいないしな」
そうなのか。まあ、確かに商人さんは魔法よりも物理攻撃の方が上手そうではある。
「そういえば、魔法に興味があるのなら今から行くのは魔法使いの家だな。とは言っても、見せてくれるかどうかは分からないが」
おお、魔法が見れるのか。どんなんなんだろうか?
魔法使いの家は森を入ったところにあった。
森の説明は省かせてもらおう。うっそうとしていただけだったし。
魔法使いの家は洋館で、森の中にあるにしては綺麗だった。なんというかツタとか絡みついてそうなイメージがあったのは俺だけだろうか?
ともかく、森の洋館こと魔法使いの家に入ると、使い方のよく分からない沢山の物が整然と並んでいた。
案外この魔法使いは綺麗好きなのかもしれない。
商人さんは目を輝かせている俺の隣で魔法使いを呼んでいた。
「はいはい、そんなに大声ださなくてもいいからー。分かってるからさー」
そう言って現れたのはワンピを着た割と若い女性であった。
なんというか、魔法使いなのだろうか。
髪も長いのを後ろで留めてるだけだし服装も割とラフだ。口調は特徴的だが。
「だって大声出さないと研究に熱中するだろ?」
「だからって大声出す必要ないさー」
魔法使いはそう言うと頬を膨らませた。
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