「恋の行方」

 苺が将生に告白された日の放課後、部活が休みだった美桜と苺は教室に残って、恋バナに花を咲かせていた。

「美桜、本当は好きな人いるでしょ?」

「いないってば。」

「じゃあ将生のことどう思ってるの?」

「いや別に、普通の友達かな。」

「本当は好きなんじゃないの?」

「そんなことないよ。」

 密かに将生のことを転校初日から気になっていた美桜だったが、ボールを当てられたことで、二人の仲は険悪になり、もう好意を失ってしまっていた。そして、昼休みに将生が苺のことが好きなことを知って、諦めていたのだった。

「美桜。私ちょっとトイレ行ってくるから待ってて。」

「うん。分かった。」 

 ちょうどその頃将生は、部活の途中で教室に忘れ物をしたことに気付き、階段を駆け上がり、教室に近づいていた。そして、美桜しかいない教室に入った。

「おっ、おう。ちょっと忘れ物してさ。すぐ出るから気にしないで。」

「あっ、あの。」

「ん?」

「いや。なんでもない。」

「そっか。じゃあ俺も森田に言いたいことがあるんだけどいいかな?」

「うん……。」

「本当にごめん。まだ、あの時のこと怒ってるみたいだから。」

「別に怒ってない。嫌いにもなってないから。」

「えっ。じゃあ……。」

「あの……。」

「あの……。」

 二人で同じことを同時に言って、笑う。

「久しぶりにお前の笑顔見たな。やっぱりお前の笑顔は世界一可愛いな。」

将生が照れながら言う。

「どういうこと?」

「じゃあ率直に言うな。俺、やっぱり美桜が好きだわ。付き合ってくれないか?」

「……。」

その時、トイレから帰ってきた苺が言う。

「はい!」

「えっ、苺?」

「私、美桜が将生のこと好きなの知ってたよ。授業中だって、外を見てるふりして、将生のこと見てたのも。」

「お願い。俺と付き合ってくれ。」

「はい!」

 ここから二人の交際が始まった。

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