一撃必殺『魔法鳩尾突上』

僕が思っていた魔法少女はプ○キュアのような女の子らしいピンクや白の衣装を着て、魔法を使いながら可愛く敵を倒していくものだった。少なくとも目の前で繰り広げられているように、可愛い服を着た筋骨隆々のマッチョ達が一方的にパワーで全てを捻じ伏せるものでは無かった。

「ひぃ助け、助けてくれ!」

「許し、ぐぇぇぇ」

かわいい服がはち切れんばかりの分厚い大胸筋。ミニスカートから伸びる鍛え上げられた大腿四頭筋だいたいしとうきん。そして完璧なまでの逆三角形ボディの5人は銀行強盗達を次々と捻じ伏せていく。

「何なんだこいつら化け物か…………ひぃっ」

「一撃必殺、魔法マジカル鳩尾突上アッパーカットぉぉぉおおお!!!」

突然ボブが主犯格の銀行強盗の男の前にしゃがみ込み背中を丸めると、掛け声と同時に足のばねで瞬時に起き上がりながら太腿ふとももと見間違えそうなほど太い右腕を鳩尾みぞおちにめり込ませながら天高く突き上げた。

「かはっ」

男はそのまま宙を舞い地面に叩きつけられる。

「ふぅこれで終わったわ。さあ皆、正体がばれないうちに撤収しましょう」

「「「「おう」」」」

彼女(?)達が後にした銀行には倒れたままの銀行強盗達、泣きじゃくる子ども、失禁し震えているサラリーマン、気を失ったお婆ちゃん、泡を吹いている銀行員、「ごめんなさい」とつぶやき続ける女性、腰を抜かした僕が残されていた。まさに地獄絵図だった。

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魔法少女『漢娘(おのこ)』 すっちー @SUCCHIY

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