2019/4/12 「コンビニ受け取り」

「はぁ」

 自分の不甲斐なさにため息をつきつつ、スマホをポケットに戻す。

 改札を抜け、西口ロータリーにでる。最近増えてきた、東南アジア系の3人組が、どこかの企業の宣伝なのか原色を多用したデザインの幟を経て、同じようなデザインのベストを来て、道行く人に何かを訪ねていた。

駅前を離れると途端に何にもなくなるのが埼玉県で、浦和駅も例外ではなく駅前はデパートその他いろいろあって栄えてるけど、少し駅から離れると普通に住宅街が広がっている。

通販の受け取りのために帰宅ルート上にあるコンビニ、エイトイレブンへ入る。スマホを取り出し、レジに向かいかけるも方向転換してエイト銀行のATMへ。

8をあしらった赤地に白抜きのエイト銀行のロゴが印字された、エイト銀行ATM。さまざまなき金融機関・ネットワークと提携しており、国内外の金融機関のキャッシュカードを利用する事ができる。

ネット銀行とかだと自前のATMを設置してないから必然的にこういったコンビニATMを利用することになる。

キャッシュカードを挿入すると、ぼくの口座があるネットバンクのロゴマークが表示され、画面が切り替わる。その中の預金引き出しボタンをタップしてパスワードを入力し、金額を入力して確認ボタンを押す。

処理が始まったのか機械が唸り声をあげ、しばらくして明細票と一緒にキャッシュカードが排出される。そして国内大手の電気機器メーカー、JECのロゴが印字された蓋が開き、中から紙幣を取り出す。

春休みに帰省した時におじいちゃんにもらったお小遣いはこれでほぼ使い果たしたことになる。

「宅配便の受け取りおねがいします。」

 レジの店員さんに受け取りようのバーコードを表示したスマホの画面を見せる。

「少々お待ちください。」

 店員さんがバックヤードに消え、小包を持って戻ってきた。

 バーコードリーダーでスマホの画面を読み取り、POSレジの表示と小包に貼られた伝票を確認する。

「こちらでよろしいですか?」

「はい」

ATMの金庫内に保管された現金がこのレジの中へ移動することで、ぼくのネットバンクの口座からネットショップへと購入代金が支払われる事になるという現代の金融システムの不思議さと便利さに感心しつつ、レジに表示された代金を支払う。

「こちらに受取のサインか印鑑をいただけますか?」

「わかりました」

 伝票と一緒に差し出されたボールペンで、自分の氏名を記入する。

「ありがとうございました。」

 小包を通学カバンにしまい、わくわくする気持ちを抑えながら家へ帰った。

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