#S-2 スクリプトキディ 「ソーシャルエンジニアリング」

2019/04/15 「プログラミング1」

「不法滞在の外国人を雇い入れ 不法就労助長罪の疑いで建設会社社長らを逮捕」

 日本での滞在・就労資格を持たない外国人を雇用したとして、警視庁は22日、都内の建設会社「建設」の社長ら5人を不法就労助長罪の疑いで書類送検し、発表した。

 来年に控えた東京オリンピックによる建設ラッシュの影響で、首都圏の建設業界では人手不足が続いている。そのためか、建設会社への外国人の不法就労が後を絶たない。

 不法就労問題に詳しい法上大学の川上博准教授は「マイナンバー制度によって企業からの給与の支払いがかなり厳格に管理されるようになり、全体として(不法就労の)件数は減っている。ただ、実態が水面下に隠れ見えづらくなっている側面もある。」としている。

(JJJニュース 2019年4月15日月曜日 11時23分)

 

 朝礼の時間に、教室で副担任から先週末に印刷を終えた染井学園新聞新学期部活紹介特別号が無事にぼくにも配布されたということは、別の委員がちゃんと仕事をしてくれたということなのだろう。副担任に、これもペーパーレス化しろよみたいな目でこちらを見られたのは少し心外だったが。

 第何号になるのかは紙面に記載してあるからそっちを見てほしいのだけれど、割と歴史があるだけあって、ペーパーレス化・電子化を推めた職員室の中でも色々意見が分かれるらしい。

 通常授業の長い1日もそろそろ終わりに差し掛かり、そろそろ最終時限である6限の半ば。

「水上、ちょっと教えてほしいんだけど」

「ちょいまち」

 エディタにテキストと記号を幾つかを打ち込み保存。ブラウザをリロードして結果を確認する。

 よし、大丈夫。

 ファイル名を指定のものに書き換え、ファイルサーバーの指定のフォルダにアップロードする。

 これで課題は全部終わりだ。

「どこがわからないの?」

「ココなんだけど」

 隣の席に置かれた液晶ディスプレイを覗きこむ。うん?なんだこれ

「プログラミングとかわけわかんねぇ」

 染井学園第3コンピューター室。1クラス分のコンピューターが設置されたこの教室で、現在月曜日5・6時間目の時間割「プログラミング1」の授業が行われている。

 近年の学習指導要領の改定で導入されたこの科目、特段特徴の無いぼくが学内で活躍する唯一の時間だ。

「ここ、間違ってる」

 if文の条件分岐の中身と、書き方がそもそもおかしい。

 隣の席の彼は、脇においたタブレットに表示された電子教科書と画面の表示を見比べて確認した。

「あ、本当だ。」

 該当箇所を教科書通りに書き換えると、プログラムはプロジェクタに映しだされた先生の画面と同じものを出力した。

「お、すげぇ。ありがとう水上」

「どういたしまして」

 ちなみに授業内容はif文について。入力された数値が偶数なのか奇数なのかを判別するプログラムを組むのが本日のお題。ちなみに使用言語はJavaScript。

 主にブラウザー、webサイトを閲覧するソフトウェア上で動作するプログラミング言語で、Webサイトを作成するときによく使われる。例えば、Webページ上で、画像をクリックなりタップなりした時に画面いっぱいに大きく表示されるようなものは、このJavaScriptで書かれている。

「水上くん、ちょっといいかな」

「今行く」

 授業前半であたかも何かを読み上げるように(実際教科書棒読みしてただけなんだけど)、解説をしていた担当教員は別の生徒につきっきりになっている。

 新聞委員会の先輩の話によると、この先生は数年前まで数学を教えていたそうだが、指導要領改訂で急遽担当内容が変更になったらしい。ちなみに、授業は恐ろしく分かりづらい。

「;セミコロン忘れてるよ」

 キーを指し示す。

「あっ、そっか」

 キーボードの右端にあるそのキーを人差し指で押し、ファイルを保存。ブラウザーをリロードしてプログラムを実行する。

「あれ?」

 入力されている値は10。なのに奇数だと判定されてしまっている。

 プログラムを見てみると、ああなるほど

「2で割った余りが0になったら、その数字は偶数になるってことだよ」

「どういうこと?」

「ほらこれ、このif文で10を2で割った余りがゼロになるかを判定してるじゃん?ゼロになったらこの後ろの{}中括弧でくくったプログラムが実行されるから」

「これ、そういう意味なんだ」

 修正を加えると、プログラムは正しい判定を出すようになった。

「本当に有難う、水上」

「どういたしまして。」

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