ggrks!
◎報告1
発生日時:最近
場所:社内
状況:あやうく解雇
原因:サーベイ不足
背景:まじぼけ
対策:ggrks
「なあ」
「うん?」
「ヒヤリハットって、冷感帽子のことじゃなかったんだな」
「おまえなあ……」
「いや、暑いせいか最近やらかすことが多くてよ」
「他にもあるのかよ」
「PDCAは、ポテト、ダブルバーガー、コーラ、アップルパイのセットだと思ってたし」
「……」
「ほうれん草は嫌いだから食べないって、そう言ったし」
「……」
「サマータイムは、暑いから寝坊していいってことだと思ってたし」
「……」
「今流行りのプレミアムフライデーは、金曜日はフライ全品特売のことかと思ってたし」
「おまえ、今までよく会社にいられたな」
「いや、女上司が俺を首にしたいって言ったから、ペンダントヘッドが俺の顔になってる18金ネックレスを持ってったんだけどさ」
「それ、とどめじゃん……」
「いや、喜んで受け取ってくれたよ。ヘッドは要らないって言われたけど」
「当然だろ。最初からアタマがないんだから」
「ひでえ……」
「おまえのまじぼけも、なんとかヒヤリハットで済んだってことかよ」
「で、その帽子はどんな帽子なんだ?」
「ggrks!」
◎報告2
発生日時:最近
場所:近所
状況:あやうく大惨事
原因:コミュニケーション不全
背景:侵入者多発
対策:ggrks
「はあ……」
「どうした? 顔色悪いぞ」
「いや、俺の会話能力って、めっちゃ低かったんだなあって」
「なんのことよ?」
「アパートの隣の部屋に、インド人っぽい外人さんが越してきてよ。郵便受けのところで、そいつに話しかけられたんだよ」
「なんだって?」
「ヒヤリハット出た、ヒヤリハット出たって」
「へー。アーリア系って結構IT系多いから、そっち関係かなあ」
「でも、ガクセイの俺には関係ねーじゃん。ナンダコイツって思ったんだけど、表情ヤバくて、はんぱねんだ」
「だよなあ……」
「でも、そいつ英語しゃべってるわけじゃねーし」
「そうだよな。ヒヤリハットは和製英語じゃなくて、純日本語だもんな」
「日本語ですらコミュニケーション出来てねえ俺って」
「おい、ちょっと待て。日本語なんだろ?」
「ああ」
「それって、なまってるだけじゃん!」
「なまってる?」
「ヒヤリハットじゃねえ、火蟻わっと、だよ!」
「えー、なんだそれー」
「ggrks!」
◎報告3
発生日時:最近
場所:路上
状況:あやうく失禁
原因:転生失敗
背景:不信心
対策:ggrks
「うーん」
「何悩んでるんだ?」
「いや、どっちがましなのかなあと思ってよ」
「マシ? なにがだ?」
「ヒヤリとする方がいいのか、ハット振り向くのがいいのか」
「わけわからんが……」
「いや、ものっそ美人の幽霊がすぐそばにいたら、さ」
「そらあ、ヒヤリの方だろ。どんなに美人でも幽霊はごめんだ」
「どうして?」
「どんなに二次元らあぶでも、実際にこれもんが近くでうろうろしてみろ。実生活にさし障るわ!」
「実害ないのになー。鑑賞用にぴったしじゃん。エサ食わない、鳴かない、大人しい」
「あほー。爬虫類じゃあるまいし」
「ちぇ」
「てか、なんでいきなりそんな話になったんだ?」
「いや、だあれもヒヤリハットしてくれないから、おまえくらいはしてくれるかなあと思ってよ」
「……ってまさか」
「ちょっとドジってさ。足……ないんだ。おまえが飼ってくれないかなと思って」
「美人じゃないから却下あっ!」
「俺、どこ行けばいい?」
「ggrks!」
◎報告4
発生日時:最近
場所:機内
状況:あやうく墜落
原因:資金難
背景:人材難
対策:ggrks
「分からん」
「キャップ。どうしたんですか?」
「いや、コパイの君に言いたくはないんだが」
「はい?」
「私は、さっきからずっとヒヤリハットしてるんだよ」
「僕がなにかヘマをしました?」
「違う。私自身がだ」
「どういうことですか?」
「いや、私はこのタイプのを操縦するのは初めてなんだよ」
「ああ、そうか。キャップは他社から転職されてきたんですよね」
「そうだ。操縦歴は長いが、さすがに異機種は難しくてな」
「社の方で訓練されたのでは?」
「経費削減とかで、研修費用けちるのに経験者優遇だったらしい」
「なら、問題はないと思うんですが」
「いや、さすがにここまで操縦環境が異なるとは思っていなかったからなあ」
「もしかして、単座……とか」
「まあな。運行速度も違うし、何しろヒヤリハット防止のための指差し点呼が出来ん。それが辛い」
「ちょ、まさかと思いますが……キャップのこれまでの運航歴って」
「E-301系だ。飛行機は初めてなんだよ。どやって運転するんだ?」
「ggrks!」
◎報告5
発生日時:最近
場所:店内
状況:あやうく乱闘
原因:直言
背景:水と油
対策:ggrks
「やっぱ、ヒヤリハットって重要よねえ」
「なんのこと?」
「いや、オトコってさ。最初はいいことしか言わないし、かっこつけるし、ぱっと見だけで引っかかっちゃいそうでしょ」
「ああ、そういうことね」
「冷静に見てれば、こんなやつだったのかって途中でヒヤリとすることが多いし、騙されそうだってハット気づくことがあるし」
「てか、普通そういうもんじゃないの? 最初はお互い幻想からでしょ」
「そうかなあ……」
「ヒヤリハットなんて言葉を持ち出してる時点で、すでにダメダメだよ」
「ちょっとっ!」
「だって、そうじゃない。恋愛はパッションよ。安全航行目指してる時点で、すでにチャンス潰してるし仲も進まない」
「うぬぬ」
「ヒヤリもハットも飲み込む勢いがないと、しょせん負け犬の遠吠えよ」
「こ、こいつー!」
「あ、ごめん。これからちょっと法テラスで相談かましてくるから、また後でね」
「は?」
「シンママは忙しいのよー。あいつ、意地でも認知しやがらないし。あ、誰かいいオトコいない?」
「ggrks!」
【おしまい】
+++++++++
【お題】ヒヤリハットを書こう
見出し:やっちまった感。誰にでもありますよね? え? ない?
紹介文:ボケは会話の潤滑油ですが、まじボケはただでは済まないことがあります。そんなヒヤリハットをあなたに。
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