第42話 反撃の準備 

偽帝袁術は滅び、群雄はそれぞれに成すべき事の為に行動を開始した。

曹操は張繍討伐。孫策は寿春の統治と袁術軍残党の劉勲の討伐。

劉備は徐州を守る為に遂に呂布討伐に動き、呂布も群雄として再起するために徐州と豫州を奪う為に行動する。



徐州 彭城 劉備陣営

 

「戦況はどうだ?」


「現在、呂布軍は下邳周辺の城を一つ一つ落としています」


「そうですか。各部隊には余り無理しないように言って下さい。今は無理に城を守る必要はありませんから」


「俺は早く、呂布の首を取りたいんだが」


「だいたい、こっちの兵数が多いのだから、一気に包囲すれば良いのではないのか?」


「そんな戦い方では、例え勝てても、損害は多大な物になります。呂布軍は援軍が来ない事を理解しています。包囲すればその包囲を解くために死に物狂いで攻めて来るでしょう。そんな彼等の攻勢を正面から受けるものではありません。」


「そうか。分かった」


「只、これからは、城の抵抗を少しづつ、強めて行きます」


徐州 下邳城 呂布軍


「戦況はどうだ?」


「我が軍は順調に彭城に続く城を次々に落としています」


「いくら兵数が多くとも率いる将が無能では相手にならん」


「ですが我等はまだ劉備軍の本隊と戦ってはいません。簡単に城を落とせるのはそれも理由にあるでしょう」


「しかし、我らが攻めている間でも援軍を送る余裕はあるだろうに」


「ですが援軍を送ってくる様子もありませんね」


「劉備軍はまだ兵数で押し返せると思っているのでしょうか」


「兎に角、油断はいけません。いずれ劉備軍の本隊と戦います。今までのようにはいかないでしょう」


それから後日、呂布軍は再度軍議を開いていた。


「彭城まで後少し、流石に城の抵抗が激しくなってきている」


「本城に近い分、守りに配置されている兵数も多い」


「ところで陳宮殿。兵糧の件で一つ」


「何でしょう。張遼殿」


「兵糧がまた少なくなっている。下邳から運び出したいのだが」


「分かりました。ではこの際、兵糧の保管場所を変えましょう」


「どちらに」


「この城が良いでしょう。此処に兵糧を置けば伸びきった戦線全体を支援できます」


「この城の守りは重要になりますね」


「重要なのはこの城だけではありませんが。ここに兵糧を運びこんだことは直ぐに劉備軍に知れるでしょう」


「そうなれば、劉備軍は此処を攻撃するでしょうね。我等の兵糧の少なさは分かっているでしょうし」


徐州 彭城 劉備軍


「呂布軍が兵糧を下邳から運び出していると聞いたが」


この報告に対し趙雲が進言する。


「直ちに出陣して兵糧を奪うべきでは」


「いえ、ここはあえて城まで運ばせましょう」


「何故です?」


「彼らも私達の奇襲を読んでいるでしょう。対策もしているはず。そんな所に

態々向かう必要は有りません。それに城に運び込んでくれた方が奪いやすいですから」


「そうですか。それで我々はいつまで反撃できないのですか?もう呂布軍はそこまで来ているというのに」


「反撃するのは次の攻城戦ですね」


「どの様に?」


「呂布軍が次に向かう城は臧覇殿が守る城。臧覇殿にはなるべく頑張って呂布軍を引き付けて頂きます」


「引き付けるのなら呂布軍本隊に臧覇の軍だけでは厳しいだろう」


「勿論、援軍は送ります」


「なら俺が行ってやる」


荀彧の提案に張飛が手を挙げる。


「張飛殿には別にやって戴きたい事があるので紀霊殿お願いできますか?」


「分かりました。ですが呂布軍を相手に私もいつまで持つか」


「大丈夫ですよ。直ぐに呂布軍には撤退してもらいますから」


「どういうことです?」


「呂布軍が臧覇殿の守る城に気を取られている間に今までに取られた城を取り返します」


「ようやく反撃ができるか」


「取られた城は小城が多く攻めにくい城でもない。元々の兵力差がありますが相手は攻城戦に多くの兵を投入し、城の守りに人員を多く割けない。まぁ小城の為に多くの兵を入れられませんが。率いる将も勇猛であっても思慮に欠ける将ばかり、それに複数の城に同時進行すれば連携もできず、簡単に各個撃破できるでしょう」


「それがなれば最前線の臧覇殿の守る城を攻める呂布軍本隊は退路を断たれるのか」


「そうなれば、幾ら呂布でも戦い続ける事はできず、撤退するしかないか」


「撤退し始めた呂布軍を臧覇殿と紀霊殿で追撃してもらい、更に城を奪い返した後であろう張飛殿達にも追撃に参加して頂ければ呂布軍は大打撃を受けますね」


そして、次の戦いが始まる。









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