第40話 偽帝 袁術

その日、徐州に現れた人物が劉備等に驚きの報をもたらした。


「ご報告 袁術軍の手簿 閻象と名乗る者が我が軍への投降を望んでいます」


「そうか 良いだろう。ではその者を此方へ」


「閻象と申します。この度は投降をお許し戴き有難う御座います」


「しかし、どうして君は投降しようと思ったのだ?」


「流石に彼のやり方に我慢できず」


「閻象殿。最近の袁術軍の情勢をお聞きしたいのだが」


「それについて大事なご報告がございます」


「何だ?」


「袁術は帝を僭称するつもりです」


「何だと!それは真か?」


「再三、止めるように進言しましたが私が去った以上、諫める者はいないでしょう」


「そうか。分かった。これは急ぎ報告をせねば」


後日。袁術は本当に帝を僭称し、諸侯等の耳に入った。


兗州 濮陽城


この日。帝を僭称した袁術をどう対処するかの軍議が開かれた。


「お忙しい中、良くお集まり戴いた」


「仕方あるまい。しかし、帝を僭称するなど」


「まぁ、奴が帝の僭称をしても誰一人認める者はおらんだろうに」


「兎も角、一刻も早く袁術を討つべきでしょう」


「では董卓の時と同様に皆で一気に攻めよう」


「南の孫策にも兵を出させるべきだ」


「四方から攻められれば袁術を打ち漏らす事はないな」


「では各々、戦の準備を」


こうして、偽帝袁術の討伐連合軍が結成された。


討伐軍 曹操陣営


「この戦で一番大事なのは揚州の支配権獲得だな」


「孫策・呂布・劉備の勢力をこれ以上大きくする訳にはいきませんからね」


「袁術の軍は精強ではないが、鍛えれば使い物になるだろう。基本的には投降を呼びかけながら戦おう」


討伐軍 呂布陣営


「この戦で多くの武功を立て揚州の支配権を取りましょう」


「兵士を多く獲得することもしなければな」


「これでようやく、独立できる」


討伐軍 孫策陣営


「孫策 偽帝袁術の討伐に参加するように要請がきたぞ」


「あぁ、今まで散々扱き使かったこと後悔させてくれる」


「余り斬り過ぎるなよ。袁術の兵力は我等にとって必要になる」


「寿春を取れば中原の足掛かりにもなるな」


討伐軍 劉備陣営


「揚州の支配権は呂布と孫策に譲りましょう」


「何故だ?」


「孫策と呂布を争わせる為であり、孫策に近づく為です」


「孫策と盟を結ぶのか?」


「この先、同盟無ではやっていけませんからね」


そして、寿春に向けて大軍が出発した。


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