第38話 楊奉と韓暹
洛陽に戻った献帝は劉備等を新たな役職に任じ、新体制の漢王朝が始動する。
しかし、その新体制を気に喰わない者がいた。楊奉と韓暹である。
「何故、大司馬や丞相に劉備や曹操が選ばれるのだ」
「我々は帝を李傕・郭汜から命懸けで守り抜いたが奴等は只、洛陽に来ただけで
あれ程の恩賞を授かるなど」
それから数日後。
「聞いたか、献帝が洛陽を離れるらしい」
「洛陽を離れて何処に行こうと言うんだ」
「濮陽だ」
「曹操め、自分の眼の届く処に帝を置くつもりか」
「洛陽が完全に復興するまでの間らしいが」
「劉備は反対しなかったのか?」
「賛成したらしい」
「誰かに攻められたらどうするつもりだ」
「濮陽は難攻不落の城として有名だし、兗州なら劉備の守る豫州や徐州。袁紹の守る冀州も近く大事にはならないだろうと言う事だ。最も、献帝に危害を加えたら逆賊どころの話ではないが」
「我等に何の相談も無しに勝手な事を」
この一件で劉備・曹操と楊奉・韓暹の武力衝突に発展する。
呂布 陣営
「呂布殿。少しお話が」
「なんだ陳宮。劉備との話はついたか?」
「献帝の濮陽入城を機に我々も徐州に帰る事になりました。そして、今度は下邳に全軍で入城する事になりました」
「全軍で? 奴らは俺とお前を離そうとしていただろう」
「呂布殿が陛下から拝命した事がきっかけです。呂布軍がバラバラに散っていては命が全うできないといったので」
「成程な」
「ですがこれからが大事なところです」
「分かっている。徐州も豫州も俺の物にしてやる」
「所で、楊奉との武力衝突は避けられぬようです」
「だから、なんだ?」
「しかし楊奉・韓暹に勝ち目はありません」
「そうだろうな」
「我等も参戦すべきかと」
「結果の見える戦いに俺が出る必要があるのか」
「今の我等にとって彼らの部隊は我々にとって魅力的です」
「劉備等に協力し、貸を作った上で楊奉等の兵も奪うということか」
「はい」
劉備 陣営
「良かったのですか?帝を曹操の元にやって」
「仕方あるまい。ある程度は此方も妥協しなければ」
「今はまだ、曹操とぶつかる時ではないですから」
「まぁ。曹操殿も董卓の様な事はしないだろう」
「ところで楊奉等はどうするのです」
「彼らの案件は時間を掛けたくありません。奇襲で先手を取りましょう」
劉備・曹操連合は楊奉・韓暹に奇襲を仕掛けた。
「奇襲は大成功だな」
「楊奉・韓暹は南に逃げた様です」
「袁術でも頼る気か?」
「討つべき相手が一塊になってくれるのは楽ですね」
「処で雲長の姿が見えんが、何かあったのだろうか」
劉備が荀彧と話していると関羽が一人の将と共に戻って来た。
「そちらの御仁は?」
「徐晃 公明殿です」
「あぁ。先の李傕・郭汜との戦闘で関羽殿と共に戦っていらっしゃった方では?」
「はい」
「実は徐晃殿は楊奉の部下だが、此処で討つには惜しいと思い、降伏を促したのだ。最も、あのまま続けていれば討たれたのは私の方だったろうが」
「その様な事は無いかと。私も先日の戦で関羽殿の戦ぶりを見て、是非とも共に戦いたいと思い。降伏をしました」
「関羽が認めるような将なら喜んで迎え入れよう。これから宜しく頼む」
「此方こそ 宜しくお願いします。劉備殿」
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