第36話 暴政の幕引き 

帝の要請を承諾した劉備軍は呂布軍を連れ洛陽を目指した。そこで待ち受けていたのは相変わらずの廃墟と化した洛陽の街並みと大勢の曹操軍


「お久しぶりです 曹操殿」


「あぁ、貴殿とは豫州の件以来か」


「えぇ。そうです」


「貴殿も帝からの要請を受けたのだな」


「漢室に仕える者としては当然のこと」


「ハハッ。玄徳殿らしいな。しかし、この場に貴殿まで来るとは意外だな」


曹操が呂布と陳宮を見る


「要請を受けたのは我々だけですか?」


「帝の勅使が来たのは主に北に地盤を持つ者らしい。袁術や孫策などの南の勢力が此処に来ないのは分かるが袁紹が来ないとは」


「此処に来ないと漢室への忠誠心を疑われ、下手をすれば逆賊の汚名を着せられてしまうかもしれません」


「私もそれが心配で来たのだが袁紹にはそれが分からんのか?」


だが、しばらくすると北に砂塵が見え袁紹軍が現われた。


「私が最後か」


「それで今、帝はどの辺りに?」


すると曹操が


「ウチの部隊が先行しているが、まだ連絡はないな」


「ご報告 帝御一行は現在、黄河を渡り此方へ向かっております」


「李傕・郭汜は?」


「渡河に手間取っている様です」


「よし、では今の内に帝を迎えに行こう」


しばらくすると帝一行の姿が見え、洛陽に姿を現した


「良し、帝の御無事は確認できた」


「後は李傕・郭汜を討つだけだ」


「総員 戦闘準備!」


そしてしばらくして洛陽城外で劉備・曹操・袁紹・呂布の連合軍と李傕・郭汜軍の戦闘が始まった。勝負は直ぐに付いた。連日、献帝一行を追い駆けていた李傕・郭汜軍は休む間もなく連合軍との戦闘に突入した為に士気が上がらず徐々に崩れ敗走し始めた。


「逃がすな 追え!」


「袁紹殿 既に黄河への渡河を始めています」


「これ以上追うのは無意味だ」


「しかし、折角の奴らを討つ機会を」


「帝が長安を出た時点で西涼の馬騰・韓遂の二人に長安を奇襲するように言っておりますので、焦らずとも彼らの首は取れます」


李傕・郭汜が長安に戻ると城の至る処に馬と韓の旗印。そして城門が開き馬騰軍と韓遂軍の将兵らが李傕・郭汜に一斉に襲い掛かった。後日、洛陽を訪れた馬騰・韓遂は二人の首を差し出した。


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