第35話 帝を救いに

劉備軍が呂布軍を受け入れて数日、特に問題が起こるは無く、徐州も豫州も至って平穏だった。しかし、問題は別の所からやって来た。


その日も、兵士が慌てて劉備の元に


「ご報告 只今、朝廷からの勅使がお見えになりました」


「何?一体何の御用だろうか?兎に角、会って見よう。そうすれば直ぐに分かる」


劉備等は服装を整え 勅使を待つ


「本日はどの様なご用件で」


「徐州・豫州両牧の玄徳殿に帝よりの協力要請です」


「何をせよと?」


「帝は長安から洛陽への脱出を考えておられるのです」


「帝が逃げ出したい程、今の長安は荒れているのですか?」


「はい、あの二人が治めて以来、長安は荒れ、帝も遂に我慢できず」


「そうですか。只、協力はしますが、先ずは帝が長安から出て貰わなくては協力しようがありません」


「帝には夜陰に紛れて長安を出て貰います。他にも策を幾つか用意しています」


「決行日はいつですか?」


「貴殿等の様な協力者が見つかり次第」


「他に協力者は?」


「李傕・郭汜の軍勢は多く、彼等に対抗できる勢力は限られており、断れる事も考え幾つかの勢力にお願いをしています」


「我等以外は誰の所に?」


「兗州の曹操殿と冀州の袁紹殿の元に」


「成程 分かりました」


「劉備殿はご協力お願いできますか?」


「勿論です。寧ろ、断られると思われた事が心外です」


「分かりました。帝に良い報告ができます」


「では我々は軍勢を整え洛陽でお待ちします」


「我々も全力を持って帝を送り届けましょう」


使者が帰ると早速、軍議が開かれた。


「洛陽に行くのはいいが誰が残る」


「我らが動けば必ず呂布が動く」


「呂布が動くとすれば袁術と同盟をして動くでしょう」


「そうなると厄介だな」


「曹操や袁紹の警戒も忘れてはいけない」


「彼らは我々と同様に帝の救援をする為に洛陽に行くでしょう」


「だが全軍ではないだろう」


「では呂布軍も連れて行きましょう」


「しかし、上手く誘えるか?」


「何としても呂布軍には全軍出させなければ」


そして、呂布等が久々に彭城に呼び出し、詳細を話す。


「帝を救うのは我等の使命。共に参ろう」


「帝を救おうとしない者は逆賊として扱わねばなりませんが」


「チッ!分かった。我等も行こう」


こうして、劉備は関羽と張と荀彧、そして呂布軍と洛陽を目指した。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る