第24話 襄陽の戦い

孫堅襲来の報を聞いた劉表は即座に樊城に大将の黄祖を派遣する。しかし、黄祖が孫堅軍の苛烈な猛攻に耐えられる筈もなく樊城は陥落。呆気なく敗走し襄陽に逃げ帰る。孫堅は勢いそのままに襄陽を包囲した。


「この城は必ず落とすぞ」


孫堅の号令の元、孫堅軍は連日 攻勢に打って出るが、そう簡単に襄陽の城は落ちなかった。


襄陽城 劉表軍


「連日の猛攻ですっかり兵士の士気も下がった。今は我等が有利ではあるが、このままではいずれ・・・」


「現状として兵糧は問題ありませんが、城の守りを強化するとなると、もう少し兵数が欲しい処です」


「兵数を増やすと言っても、そう簡単には」


「援軍を頼むか、敗走し散り散りになった兵を集めるか」


「黄祖よ 頼めるか?」


「樊城の負い目がありますから、必ず兵を連れて来ましょう」


こうして黄祖は兵士を補充するために密かに夜中の内に襄陽の城を出た。しかし、それは孫堅も予測していた様だ


「フフッ やはり出て来たか。目的は何だ? 援軍の要請か? それとも」


孫堅は黙って気づかれぬ様に黄祖を観察していた


黄祖は何とか僅かばかりの兵士等を集める事ができた。黄祖は集めた兵士と共に襄陽に帰ろうとしたが


「待っていたぞ黄祖! 折角集めた兵士だがここで死んで貰おう」


「しまった!ここに来て待ち伏せとは」


この時、襄陽への道は既に閉ざされていた。黄祖は仕方なく、近くの峴山で孫堅軍を撒こうとした。


「黄祖! 何処にいる! 堂々と勝負せよ」


黄祖は茂みに隠れて孫堅が追撃を諦めるのを待っていたのだが、隣いた呂公が黄祖に進言する


「将軍 見て下さい。孫堅は余り多くの兵士を連れて来てはいません。付き従う将もいない様子」


「だから何だ。」


「なぜ、逆に討って出ようとしないのです! 幸い孫堅は此方に気付いていません。これは好機です」


「しかし、相手はあの孫堅だぞ。あんな奴の前に出るなど」


「黄祖殿 何も一騎打ちをしろとは言っておりません。人はそれぞれ戦い方が違います。因みに私の戦い方はこうです」


そう言って 呂公は茂みから出て孫堅に向けて矢を射った


「孫堅 覚悟!」


そして 呂公の放った矢が見事 孫堅の身体を撃ち抜いた。 驚いた孫堅軍の兵士は逃げ出した


「逃がすな!迎撃せよ。そして孫堅が討ち死にした事を知らせよ。全軍で反撃に出るぞ」


襄陽城 劉表軍


「おお! 本当に孫堅が 良くやったぞ呂公」


「今回は孫堅の性格に助けられました」


「良し! この機をのがざず 追撃だ」


城外 孫堅軍


「そんな! まさか 殿が」


「なぜ 一人で行かせた?」


「兎に角 撤退だ! 敵の追撃が始まるぞ」


孫堅配下 韓当 程普 黄蓋が撤退の意志を固め 襄陽を去った

後日 孫堅配下の桓階が遺体の引き渡しを求めた


「フン! 孫堅の遺体は散々に辱めてやるべきだ」


黄祖は孫堅の遺体の引き渡しに反対したが蒯越が賛成した


「死んだ者を必要以上に辱めては劉表殿の名に傷が付く、そんな事をするより懐の大きさを見せつけるべきだ」


劉表は蒯越の意見を支持し、劉表は孫堅の遺体を桓階に引き渡した


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る