第17話 洛陽を目指す

洛陽周辺に駐屯した連合軍だが実際には強大な董卓軍を前に動かなかった。


業を煮やした酸棗に布陣していた曹操は張邈、鮑信らと共に董卓軍に戦いを挑んだ。また、その報を聞いた劉備、公孫瓚も河内から洛陽に進軍を開始するのだった


洛陽に進軍し始めていた劉備、公孫瓚軍は果敢に董卓軍を攻めていたがそんな劉備達の元にある知らせが届く


曹操軍、鮑信軍、張邈軍の大敗


「滎陽にて連合軍が大敗しました」


「何だと、曹操殿がいながら負けたのか?」


「滎陽の敗戦を知った董卓軍が勢い付くでしょうから急ぎ我等も退くべきです」


荀彧の言葉に従い劉備等は引き揚げた


酸棗 曹操軍駐屯地


「曹操殿 矢傷は大丈夫ですか?」


「心配ない。それより被害はどれ程だ」


「酷いものです」


「そうか。それで徐栄は」


「既に周辺から撤退しています」


「無暗に深追いをするような将ではないか」


その後も連合軍は大した戦果は挙げられず、むしろ、徐栄一人に大苦戦。

孫堅も敗走、董卓軍に奇襲を目論んでいた王匡も背後を突かれ敗走。また潁川の太守も生け捕られ殺される始末。


敗戦を重ねた連合軍だが決して諦めた訳ではなかった。特に孫堅は消極的な袁術を説得し兵糧の支援を確実なものとして何度も董卓軍に挑んだ。


司隷 河南尹 梁県 陽人


孫堅は体制を整え陽人城に布陣した。これに対し董卓は胡軫と呂布に迎撃に向かわせた。胡軫と呂布は到着後、連日の勝報に驕っており城一つくらいなら簡単に落とせると即座に攻撃を仕掛けた。だが防衛体制の整っている城は簡単には落ちなかった。まして、洛陽から急ぎ駆け付けて、休息も取らずに攻めているので兵士の士気も上がらなかった。


「クソッ まだ落ちんのか?」


「胡軫殿 これ以上の攻撃は悪戯に被害を増やすだけです」


「仕方ない。今日はこれ位にしておこう。退くぞ」


胡軫が引き揚げの号令を出した時、城の門が開き、孫堅軍が一斉に飛び出した


「しまった。しょうがない迎え撃て」


再度、孫堅軍に攻撃を仕掛ける胡軫と呂布だったが撤退中に攻撃されたために兵士達の多くが撤退することを優先してしまう。その為、碌な反撃が出来ずに敗走する羽目になった。


「孫堅軍を甘く見過ぎた。此方も体制を立て直そう」


この陽人での勝利から孫堅は董卓軍に快勝し続け洛陽に迫る。また、曹操軍も体制を立て直し、戦線に復帰。劉備軍、公孫瓚軍も進撃を再開、進軍路の董卓軍を打ちながら洛陽を目指す。消極的だった残りの諸侯も進軍を開始した。


洛陽 董卓軍


「クソッ 連合軍の奴等を調子付かせてしまった」


「ですが、帝が此方にいる以上、逆賊は彼等の方ですよ」


「だが、このままでは」


「では、洛陽を捨てて長安へ引くのが良いかと」


「う~む 仕方ないか」


董卓は即座に洛陽の街を焼き払い、歴代皇帝の陵墓や洛陽の豪族から金品を没収し長安に撤退した。




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